EQNext ロアブック7冊目『Rise of the Ring』

7冊目のeBook、Rise of the Ring(Ringの台頭)がリリースされた。
「Ring」はRing of ScaleのRingだけど「輪」「絆」→「血族」「一族」→「ドラゴン族の台頭」でもいいように思える。
が、Claws of Veeshanも出てくるんでやっぱりRingだと思う。

EQN: The Ring

Ithiosar the Black視点の物語。
The Stars of Home(『故郷の星』)とPrison of Fire(『炎の監獄』)で描写されるNorrath大破壊が起き、その対処について話し合うためClaws of VeeshanのリーダーYelinakがドラゴンをSkyshrineに招集する。
Lavastormの監獄Tagnik VukarでDal(Elf)の残虐行為を目撃(『炎の監獄』)したIthiosarは、1匹のドラゴンを救出してから評議会でこれを報告するためにSkyshrineに向かうところから物語が始まる。

これを読めばなぜドラゴンが戦争を始めることになったのかが分かる。

Skyshrineに集結したのは、

Lord Yelinak
Aaryonar the Watcher
Klandicar
Lady Vox
Wuoshi
Zlandicar
Lord Nagafen
Trakanon

といったオールスター勢で、話し合いの末ドラゴンが団結して立ち上がる。
これらの名前はEQ経験者には非常に馴染み深いものだが、EQNextのロアはまったく違うのでEQ1やEQ2で起きた出来事を踏まえた結論を出さないでほしいとのこと。(New Fiction: Rise of the Ring
また、『Rise of the Ring』にはNorrathの歴史でもドラゴンしか知らない古い出来事が出てくるが、この物語で語られる出来事はEQNextのストーリーに深く関わっている。

リリースのたびにロアブックを読んでいる人はリリース順でいいが、1冊も読んだことのない人は、
The Stars of Home(The Stars of Home / 故郷の星
Prison of Fire(炎の監獄
Rise of the Ring(Ringの台頭
Enemy of My Enemy Parts 1 & 2(敵の敵
The Mage of the Teir’Dal(Mage of the Teir’Dal / Teir Dalのメイジ
Fall of Bastion(Bastion陥落
The Last Stand of the Teir’Dal(Teir’Dal決死の戦い
の順番で読んでいってほしいとのこと。(時系列。EverQuest Next年表も参照)


 

風と戦いながらIthiosarは翼をはためかせVeliousの山々の頂を飛行する。遙か下に見える荒野は氷と雪で覆われている。この高さに育つ植物はなく生き物はいない。巨大な肺に十分な酸素を送り込むのが困難なほど空気が薄い。早くSkyshrineに戻りたい。

ここは我が血族の領土。誰にも渡さない。

ギザギザとした山の頂沿いに上昇し雲を超える。凍りつくような冷たい霧が黒いウロコの層の間をダガーのように突く。さらに上昇する。多くのドラゴンが恐れるスポットを越えると山の頂がさらに小さくなる。意気揚々と上を見上げると、薄いブルーの向こうに濃い闇が永遠のように広がっている。終わりのない闇に夜の帳の星がほんのわずかな灯りをさす。ここ世界の果てでは星がよりリアルに見える。ほんのちょっと強く押し高く飛んだだけでNorrathの支配力を振り放せるかのように。翼をあと数回振ればSkymotherの元にたどり着きこの無数の星の一つになれる。

小さく白いウィスプが目の前に現れ思い描く光景が消える。目を閉じるといつのまにか無重力にいる。

ぐいっと引かれて落下していることに気づく。

意識が飛んでいたのは数秒もなかったはずだ。素早く下を見下ろすと山脈の頂はまだずっと下にある。これまでになく星に近づいていたことを思い有頂天になる。

関節を曲げ翼に力を入れて体を任せる。薄い雲の上を飛びながら特徴ある地形の目印を探すと鋭い目がすぐに目指すものをとらえる。

まだ何マイルも先のゴツゴツしたグレーの岩の更に上に、巨大な黒い山の円錐形がそびえ立つ。山頂の真ん中の穴からは白い煙が薄っすらと立ち昇る。

Skyshrineだ。

休火山に向かって急降下する。たどり着くと数百フィート上空を旋回しながら奥を覗き見ようとするが、影しか見えない。

我々Ringの兄弟はもう隠れなくていいのだ。あの闇から真実を暴いてやる。

Lord YelinakがClaws of Veeshanの会議を招集したと知ってmasterは喜んでいた。

エルフ帝国のど真ん中で起きた壊滅に伴って集会は避けられない。噂が渦巻き恐怖がはこびっている。ドラゴンでさえ。この評議会はまさに絶好のタイミングだ。

見れば納得するだろう。すべきことをするのに反対するはずがない。

それでも反対するドラゴンもいるだろう。分からない。なぜClawsはああも盲目なんだ?なぜあんなに頑固なんだ?Dalの犯罪は許すまじきこと。裏切り行為で信頼を失い、平和を守るためのありとあらゆる協定を破ったのはエルフと奴らの傲慢な皇帝だ。エルフは何百年もに渡る戦争と束縛で他の種族を没落させた。

Ashfallを引き起こし世界を破滅させたのはエルフだ。まちがいない!

Clawsの反論にはイライラする。人間に同情的なドラゴンがあんなに多いのはなぜなのだ?奴らは天罰を受けたのだ。 害虫だ。劣等種族が欲と裏切りで汚染する前のNorrathは素晴らしい世界だった。

駆除すればまた元の世界に戻れる!Ringがそれを実現しよう!

肺いっぱいに空気を吸い込み呼吸を落ち着かせる。怒りのままたどり着いてもいいことは何もない。煙を通り抜けると一瞬暖かい空気に包まれる。

今日奴らは分かるだろう。これから目の前に突き出す現実と対面したら理解するはずだ。

Ithiosarは頭をもたげ翼を両脇に引っ張りSkyshrineの中に入る。だんだん深い影に慣れていく。巨大なボウルの形の洞窟をぐるっと一周する。どうやら一番最後に着いたようだが「ゲスト」には思ったよりも準備してもらう時間が必要なのでちょうどいい。

SkyshrineはTitanとの戦争以来ずっとドラゴン族が権力の座を握ってきた。この街とも言えるような場所自体は、穴、テンプル、建造物、トンネルがいくつもある構造なっており、火山に囲まれた山の中に作られている。First BroodがMother’s Eyeと名づけた場所だ。何千ものドラゴン種族を収容するために作られたが、Ravaner Warの暗黒時代以来ほとんどの部屋が空となっており、いやが上にもVeeshanの子孫が残り少なくなっていることを物語っている。

白い煙がいくつかもくもくと立ち昇っているとはいえ、この山は休火山だ。Ithiosarの内なる強力な炎を覆うウロコよりも黒い黒曜石の床は、何千年もドラゴンが歩いてきたため滑らかだ。

街全体がSkyshrineと呼ばれているが、Ithiosarはこの名前を聞く度にいつもこの神聖な場所を思い出す。街の他の場所はここを覆う単なる骨組みにすぎない。

ドラゴンの感覚からすると、評議会室はシンプルな造りだ。岩の出っ張りがいくつも部屋を取り囲んでいる。黒曜石の床から50フィート上に最初の出っ張りが、そして次からは同間隔で上に続いている。それぞれ両サイドが深くカットされており、火山口を作る円錐の上が内側に伸びてコロッセウムのようなエリアになっている。参加者のドラゴンが、出っ張りの一番上に均等に並んだ、一段上のプラットフォームに立つ。

集会に出るといつも感じる悲しみがまたIthiosarを襲う。

最初からこの評議会を見ることができたらよかったのに。この部屋に数えきれないドラゴンのなかから選ばれたドラゴンが集まりドラゴン議会を開いた頃、我が一族はどの大陸にも隅々まで散らばっていた。

しかしSecond Broodである私の時代は、生きているドラゴンすべてがこの部屋に集まっても半分も埋まらない。

Ithiosarが降り立つとAaryonar the Watcherが視線を送る。「若造よ。一番最後に到着か。もう我慢試しをしてくれたのか。これ以上戦争で泣いて私を手こずらせるんじゃないぞ」

Ithiosarは侮辱され苛立ち、思わず言い返そうとする。しかしこのような古代ドラゴンに口ごたえしてもmasterの計画にはなんの役にも立たない。なので代わりにゆっくりと瞬きをして服従するふりをし、Klandicarの隣のいつもの高座に向かう。

空の段に登るとKlandicarが振り向いて尋ねる。「何か聞いているか?こんなに長い間兄から便りがないのは珍しい」低いがらがら声が山々に響く。「Aerieを調査してメッセージを伝えに来たそうだな。兄を見つけることはできたか?」

あまりにも直接的な質問にIthiosarは不安に襲われる。師匠の弟に嘘をつくわけにはいかない。だがもし下準備ができる前に何を見たかをKlandicarが知ってしまったら、その怒りが評議会室に大混乱をもたらすだろう。

Ithiosarは頭をたれて目をそらす。「ある証拠を待っているところです。評議会に見せるつもりです、my lord」

Klandicarは顔を寄せてきて睨む。「小僧、時間を無駄にするんじゃない。我々兄弟はいろんなことで意見を衝突させてきたが、歯向かう者には団結して戦う」あちらを向くと鼻から煙が昇る。

「その時が来たら頼りにしてます、my lord」Ithiosarは心のなかで思う。

辺りを見渡すとIthiosarの側近、ドレイクのHasslainがトンネルをズルズル歩いてくる。ドレイクが近づいてくるとIthiosarはKlandicarから聞こえないように長い首を伸ばす。「準備はできてるか?」 ささやき声が響いてしまったので縮こまる。

ドレイクは恐怖を隠さない。「まだです、master。残念なことに彼の状態のせいで… 準備が困難です」

Ithiosarは鼻の穴を開いたり閉じたりさせながら数秒ドレイクを見つめる。この使いを真っ二つにしてやろうかと思う。それとも酸を浴びせるか。どちらにしてもここに今日集まったドラゴンを満足させまい。目を閉じ抑制する。「準備ができたらすぐに私に知らせろ。その時が来たらどれだけ時間を伸ばせるか分からない」

「分かりました、master」言い終わる前にHasslainはもう安全なトンネルに逃げ戻っている。

「みんな揃ったようだな。始めよう」 Lord Yelinakの低いバリトンが洞窟に響き、Ithiosarは評議会に集中する。Yelinakが高座から前に出て頭をまわし全員を見てから頭を垂れる。

「そなたの名のもとに我らはここに集う」

ドラゴンが斉唱する。「そなたの名のもとに」

Yelinakが上を向く。「Skymotherよ、どうか我らを見守りください。そなたの翼を導きください」

「我らの翼を導きください」

「天上の世界から天下の世界へ…」

「我らの翼を導きください」

Yelinakは翼をひろげて周囲を見渡す。「常にそなたの名のもとにふるまわんことを」

「そなたの名のもとに」

Yelinakはしばらく静寂を保ってから翼をたたむ。「もう全員この評議会を招集した理由を知っているな。大破壊が起きた。Age of Ruinの初め以降のものとは異なる規模だ。Amarilは分断されこの壊滅はNorrathの隅々にまで影響を与えた。何が原因なのか?」

Clawsのリーダーは邪魔されるのを嫌う。銀のドラゴンは一瞬無言になる。「我々の偉大な父、Vulak Aerrと語り合った。Warderたちと見張りを続けている。監獄は揺れたが持ちこたえた。」

ささやき声が評議会室を包む。

意見が出ないのでYelinakは違う方向に顔を向ける。「Lady Vox。お前と学者たちは人間がAshfallと呼ぶ出来事の調査を行った。何か見つけたか?」

エレガントな白い美しいドラゴンが前に出る。「あの破壊の本質は分かっています」 金属質な声が風に乗って響く。「Akashidakへのポータルが爆発してそこに繋がるレイライン上にうねりを作りました。そのラインがAmarilを燃やし2つに分裂しました。もう一つのうねりがAkashidakに影響したものと思われます…あるいはそれ以上です」

「Takish’Hizは?Miragulは?」 Yelinakが慎重に懸念を表す。

Voxの口元にわずかに笑みが浮かぶ。「街は崩壊しました。皇帝もろともです」

Yelinakがうなずく。Ithiosarからその瞳に後悔が見えたように思える。「原因は?犯罪か?」

Voxは長い尾を優雅に揺らす。「まだ分かりません、my lord。破壊の規模からすると、真実は明らかにはならないかもしれません」

評議会室にささやきが響く。Yelinakは静かにとジェスチャーを示す。「調査を続けてくれ、good lady。さて次は我々の心により近い出来事についてだ。Aerieで見張りをしていた者たちについて何か聞いているものはいないか?今日評議会に出席できなかった者たちについてだ」

Ithiosarは興奮に負ける。誰の目からも話をしたいことが分かるように、自分の高座の隅に出て前に乗り出す。

Yelinakは目が合うとあきらめたようにため息をつく。話が途切れてから、「Ithiosar、話して良い」と促す。

Ithiosarは頭のなかでまとめる。はやる気持ちと声を抑える。「大変重要なニュースがあります。行方不明の血族に関する証拠をお見せしたいと思います。恐れ入りますが発言権を要求します、my lord」

Yelinakは頭をゆっくり振り一歩下がる。「発言権をIthiosarに渡す」

高座から降りてIthiosarはゆっくりと旋回してツルツルの黒曜石に降りる。部屋を歩いて、苦痛の種となるであろうドラゴンたちが何匹かいるのを確認する。評議会室の中央に着くと銀の古代ドラゴンの前で立ち止まり一礼する。「ありがとうございます、Lord Yelinak。今日私がClawsにもたらすものに対するご理解と信頼は、ここに集まった者全員にとって大変重要なことです。この評議会の長年の膠着状態を打開するものです」

振り返って反論する低い声をかき消す。「我らの母はNorrathを守るよう命じました。全員がそれに従っています」

何匹かのドラゴンが同意する。「ここにいる者は全員私が人間をどう思っているか知っています。破壊、虚偽の元凶です」

今度は先ほどの数匹の熱意が消えたようにみえる。

「私の信念に反対する者がいます」IthiosarはWuoshiを睨む。「なぜこのようなことの異議を唱えるのか… 理解しかねます」

Wuoshiは低いうなり声を上げ高座から半分身を乗り出し、首を伸ばしてIthiosarを見下ろす。「貴様のその厚かましい考えを直してやろう、小僧」 「貴様のElderの多くはまた戦争に引きずり込まれるのに反対している。直に犠牲を払った者たちだからだ」 翼をたたんでWuoshiは続ける。「評議会を見てみろ。誰もいない高座の一つ一つに、かつては兄弟姉妹がいた。空を覆うほどいた血族たちが死んでいくのを見た。冷たくなり永遠に失い泣いた。DalとHigh Magicのせいで高座が今以上に空になるのを見たいのか?貴様の憎しみと戦いへの欲求のために?」

IthiosarはYelinakを見上げる前に頭を垂れ、Claws of VeeshanのリーダーがWuoshiを叱責するのを待つ。銀のドラゴンの唸り声が評議会室に反響する。「Wuoshi。Ithiosarに発言権がある」

荒い鼻息とともにWuoshiはその緑の体を元の位置に戻す。

心配するな、臆病者。お前はあとでもう一度拗ねることになる。

ニヤリと笑いIthiosarはWuoshiに背を向ける。「確かに私は戦っていません。あの悲惨な戦争に私の力を貸せなかったことが残念です。しかし皆も知っている通り、あの時代の人間はポータルを開き、腐った生き物をNorrathへ導く結果となりました。400年ものあいだ用心するようにこの集会で訴えてきました。この新しい世代を増やした結果起こる危険に対する警告をしてきました。腐った奴らをNorrath中に広げる危険を」目をそらし声を落とす。「そしていつだって私は撥ね付けられてきました」

Lady Voxが高座から前に乗り出しIthiosarと目を合わせ、発言したい意志を表す。頭を下げそれを認める。「Ithiosar、我々はお前を撥ね付けてはいません」 声を上げる。「欲しいのは証拠です」

その言葉に自分のプラットフォームを思わず見る。その場で浮いているドレイクのHasslainが頭を横に振る。

Ithiosarはうなり声を上げたくなる。

あとどれだけ引き伸ばさなければならないのだ?

すべきことに集中する。気持ちがはやる。もう少しのところなのに失敗してmasterをがっかりさせたくない。一生許されないだろう。

「証拠?証拠!」怒鳴り声が評議会室をこだまする。「どこまで証拠が必要なのですか?エルフが、」呪いのように吐き捨てる。「ポータルにちょっかいを出すのをやめないせいです。Shissarのような生き物でこの世界を悩まし、人間にHigh Magicを使い退廃的で高慢な帝国を築き、大昔に我々のリーダーと結んだ協定を無視したのがエルフです」

Yelinakを見るが無表情だ。

Lady Voxに視線を移す。「ポータルと我々が守るべきこの世界を破壊したのはエルフだということが、じきに白いladyもお分かりになるでしょう」

Lady Voxが前に出るが、Ithiosarは後ろを振り向き一言も発言させない。何を言おうとしているかは分かっている。Ashfallにエルフが関わったという証拠がないと。

しかし私の発言で少しばかり活気づいた。それをまた振り出しには戻させない。

代わりに味方になってくれるドラゴンを探す。「この災害が起きて、我が兄弟Jaled DarはDalの行為に気づきました。エルフの皇帝は死に首都は崩壊しました。そこでエルフは力への欲望を捨て協定どおり平和と保護のため我々に助けを求めてきましたか?」

肩を動かして翼をサイドに伸ばす。「いいえ。奴らは狂犬のように仲間同士で攻撃を始めました。貴族たちは不在となった王位を奪い合っています。今回の悲劇で混乱に陥った自分の種族を救う代わりにFaydwerに大群で攻め込む。何も変わっていません!」

年配のドラゴンの声が空洞となった火山に反響したときIthiosarには分かっていた。Jaled Darの言葉をもってしても反対意見を変えることはできないと。

Lord Yelinakがプラットフォームを一歩前に出たため、Ithiosarは退く。「もう推測はいい、Ithiosar」言葉尻にイライラが感じとられる。「発言権を与えた時に、証拠があると言ったな。同じことを聞かされるよりその証拠なるものを見せてくれ」

パニックが襲う。

Ithiosarは自分の高座を見るが誰もいない。時間稼ぎをするための言葉を探す。何か言おうとしたその時、動きが目に入る。鈍い光の下にHasslainの光る眼が後ろの廊下から現れる。上下に揺れる尾を見てIthiosarに安堵の波が伝う。視線を戻して頭を垂れる。

「Lord Yelinak」視線を戻して一礼しゆっくりと一周して集まったドラゴンたちを見つめる。「兄弟姉妹よ、Dalがこの部屋の誰にとっても憎むべき許しがたい悪行を犯した明白な証拠を、ここにお見せします!」Wuoshiから目を離さず述べる。

事前に決めておいた合図で、ドシン、ズルズル、と引きずる音がメインエントランスのトンネルから評議会室に響き渡る。

Ithiosarは広場に響くように低いガラガラ声で言う。「人間の悪事について長い間警告をしてきました」

「しかしこの部屋の多くの者が私の訴えに全く聞く耳を持ちませんでした」

「そして今、そのせいで我が血族が犠牲を払ったのです」

振動と引きづる音が続く。光る目がトンネルの中から現れる。

「証拠が欲しいのですね?」Ithiosarは後ろ脚で立って一番下の段にいるドラゴンの目が見えるように首を伸ばす。「ではお見せしましょう。行方不明だったZlandicarです!」

黒い古代ドラゴンがトンネルの暗がりから現れ出ると、ドラゴン全員から叫び声が上がる。無理もない。自分もTagnik Vukarの奥で腐っていた師匠を見た時はそうだった。

Zlandicarは衰弱していた。薄くなったウロコは雑巾のように体から垂れ下がっていた。とても弱々しくようやく立っていられる状態だ。古い傷と新しい傷がいくつも不自然に顔を横切っている。左目があった場所には穴があるのみ。ドラゴンが自分を引きずってくると、左足がグロテスクに上を向いている。

しかも見たものにショックを与えたのはこれではない。

多くの傷は癒えるだろう。癒えない傷は耐えることができるだろう。しかし皆に恐怖を与えたのはZlandicarが半死だったことだ。この古代ドラゴンの心、魂、精神が吸い取られているのが誰の目にも明らかだった。

Ithiosarでさえ見るに耐え難く目を逸らしたくなる。しかし、問題となっていることを思い出し他の者達の目をそらせるわけにはいかないことに気づく。 「よく見てください!」叫び声で洞窟の高い天井のすすが落ちてくる。 「エルフがしでかした我々の仲間への仕打ちを!」Yelinakと目が合う。「師匠が行方不明となりAerieを探していると、エルフの奴隷から話を耳にしました。ZlandicarがTarinarとYonilarと共にLavastormで囚われていると。全速力で向かいました」悲しみいっぱいに話す。「しかし遅かったのです。あのMiragulは2匹の血族の命を奪い今目の前にある残虐非道な行為を行ったのです」

Yelinakは視線をIthiosarからZlandicarに移し、また戻す。唇を噛み鋭い爪を出す。雷鳴のような叫び声と供に高座から降り評議会室を一周する。力強く翼を翻して着地し黒曜石の床に拳を叩きつけると、古代の床にこの1000年で初めて亀裂が入る。

Klandicarが一歩前に出て高座を離れZlandicarの隣に降り立つ。黒い顔に嫌悪と憂慮が戦っているのが分かる。「兄よ、死んだと思っていた」

唇の残っている部分を引きつらせたZlandicarの口から、少なくなった牙が見える。「死…」 長く吐き気のするようなギリギリという音をさせようやくそう返事をする。広場一体でドラゴンたちが苦悶のあまり咆哮を上げる。

暴動を抑えなければ。

Ithiosarは空を舞い評議会室を滑空する。「Zlandicarと他のドラゴンがAerieから消えた時にすぐにエルフの仕業だと分かりました。あなた方はそれを疑い証拠を要求しました。MiragulとKeepers of the ArtがHigh Magicを使うのをスカウトが目撃していました。しかしここにいる多くの者は信じませんでした。更に多くの仲間が行方不明になり、寝床が空になっても動きませんでした!」翼を振りながら床に向かって滑空し参加者にツメを向ける。「行方不明の者たちがZlandicarと同じ運命をたどっていることをまだ疑っている者はいますか?」

Ithiosarは翼をたたみ兄弟のあいだに降りる。「最悪の事態になる前に師匠を助けることができただけでも幸せです」

「狂っている!」 Wuoshiがプラットフォームから飛び降りてくる。「貴様が言っていることが事実だとなぜ分かる?Ithiosar、Zandicarが貴様と同じ考えなのは皆知っている。貴様の師匠がDalを扇動したために自ら招いたことではないのか?」

真っ黒な稲妻のようにZlandicarが前に飛び出て金切り声を上げる。Wuoshiに力いっぱい体当りし天井からさらに埃が落ちてくる。Zlandicarを上に2匹は壁に叩きつけられる。Zlandicarは頭を前に突き出しWuoshiの首に噛み付く。牙があったら致命的だっただろう。歯がなくなってもZlandicarの一噛みがWuoshiのウロコを剥がし落とす。

赤い閃光がZlandicarの異常にやせ衰えた体を横に打つ。ドラゴンは黒曜石の床を滑って横切り壁に当って動かなくなる。Ithiosarは師匠が殺されたのではないかと恐れる。

Lord Nagafenの巨大な姿がWuoshiに重なる。哀れなうめき声とともにZlandicarは目を開き上を向く。Lord Nagafenがうずくまった黒いドラゴンを睨みつける。「仲間を攻撃するとは何事だ!」古代ドラゴンは旋回しIthiosarの前で肩を怒らせる。「Zlandicarは私の友だった。私はその死を悲しむだろう」 憎しみと悲しみの入り混ざった表情をしている。 「あれが何なのか分からない」

Zlandicarはようやく立ち上がる。部屋をちらりと見ると混乱と苦痛が傷だらけの体に伝っている。そして振り返り、低く悲しいうめき声を響かせながら元来たトンネルを戻ってゆく。

赤い古代ドラゴンの怒りはIthiosarが一歩下がるまでのしかかってくる。「あんな状態のあいつをここに呼び出すとは。これは皆貴様の責任だ。あの… 忌まわしい行為を終わらせねばならない」 そう言うと高く飛び上がり1番上の段の自分の高座に戻る。

Wuoshiが足をぐらつかせて立ち上がるが数歩歩くと平静を取り戻す。最後Ithiosarを睨みつけてから静かに飛び立ち小部屋に戻る。

Ithiosarはライバルの屈辱に喜びたいところだが、固唾をのむ。今起きた出来事が吉と出るか凶と出るか判断できない。

「そこまでだ!」 小部屋から評議会室に声が響き混乱に終止符を打つ。静まり返るとYelinakと同じくらい大きな古代ドラゴンTrakanonが暗がりから姿を現し黒曜石の床に降り立つ。「私がZlandicarをKunarkに連れ帰り治療しよう。Ithiosarが持ち帰った証拠に関しては…」 TrakanonはYelinakの方を向く。「反証することはできない。Dalは処罰されるべきだ 」

叫び声と唸り声がホールに一斉に噴出する。

Yelinakが頭を振る。「犠牲が—」

Trakanonがシュッと遮る。「Lady Voxの報告では、Ashfallが起きた原因がエルフによるHigh Magicの支配を破壊したことに言及していない。今奴らは傷を負っている。最もパワフルな武器がない状態だ。戦うなら今だ」

Yelinakがうなる。「こちらは数が足りない。災害に遭っても人間は南の土地に溢れるほどいる。ドレイクを交配して増やすには時間が—」

「ドレイクに限定する必要はない」 Trakanonが銀のドラゴンに顔を近づける。「若い人間がAge of Ruinから立ち上がり自分たちが生まれる前から支配していた者から土地を奪ったように、劣等生物が同じことをすればいい。奴らで軍を作る」

Yelinakは目を見開く。「Koboldか?Phyxian?Wyvernもか?」 うなり声を上げる。「人間よりはましだが我々の仲間となるには不足だ」

「しかし操ることができます」 この2匹には自分の意見など不必要だと分かっていたがIthiosarは興奮のあまり意見を言う。 「数の多い人間と張り合う武器となり凶暴さではそれをしのぎます。我々Blackwingにとってあのような生き物を意のままに操るのは造作もないことです」

TrakanonはYelinakから目を離さず見つめる。 「過去の過ちを悔やみ亡命した時、偉大な父はお前に舵取りを任せた。出すべき指令を出せ」

Yelinakは評議会室を見渡す。少数のドラゴン以外は全員頷き、唸り、ツメを出している。待ちきれんばかりのIthiosarを見て、そして非難するような苦い顔付きの兄弟を見る。頭を振る。「駄目だ。他の方法があるはずだ。使徒を送って—」

「何のために?」 Trakanonが笑う。IthiosarはTrakanonのこんな声を初めて聞いた。 「人間は今まで道理を受け入れたことがない」

銀のドラゴンが上を見上げ、その方向をIthiosarが見つめる。嬉しい事にClawsのリーダーを支持する者がほとんどいない。

深い息を吐いてLord Yelinakが前に出る。そして疑念を抱きつつも信念を持って話し出す。「軍の準備を整えろ。軍を編成しろ。人間がつかの間の王位を奪い合っているあいだに、奴らの犯罪に応える。かつて体験したことのない戦争を味わわせてやろう」

耳をつんざくばかりの唸り声が評議会室を包む。次から次へと偉大な生き物がプラットフォームを飛び立ち評議会室を周回する。Ithiosarは顔を上げ仲間の怒りを、パワーを、ただひとつの目的を想う。

ついに勝ったのだ。

Trakanonが近づいてきて黒い瞳が見つめてくる。「よくやってくれた、若造」牙のまわりの青緑の肌が歪んで笑顔になる。「お前は我々を戦争で一つにした。闇から現れ出る時が来た。人間は倒れClawsは屈するだろう。そしてそれら全てを操るのはRing of Scaleだ」

Ithiosarは頭を垂れ「はい、my master」と囁く。「世界は我らのものになるでしょう」

かつてそうだったように。また再びその時が来る。

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