EQNext 【Teir’Dal決死の戦い 第四章 – 誇り –】

登場人物

第一章 – 悲嘆 –
第二章 – 任務 –
第三章 – 栄誉 –

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【第四章 – 誇り –】

 

 

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– Keramore Thexが丘の上まで登り切ると、バラバラに編隊を組んで立つ5000人のTeir’Dalの戦士が見え、誇らしい気持ちで胸がいっぱいになる。全員が一ヶ所に揃ったのは1年ぶりだ。最近のTeir’Dalは敵を倒すというよりも嫌がらせをするゲリラ戦法を遂行するにとどまっている。思えばそれも全部今日に備えたリハーサルだったのかもしれない

– Keramore Thexは腰にかけたロングブレード2本の位置を調整して待機しているグループに向かい坂を駆けてゆく。近くまで来るとリーダー格の士官5人が編隊を離れて迎える

– Ailen Rashardが先頭に立つ。レザーの鎧はまるでドラゴン戦争が始まった頃から酷使してきたかのようだ。彼を知る者はみんなそのだらしのない足取りと身だしなみが、暗殺者の死闘とは真逆だと知っている

– Ailen Rashardの右手にはリーダー格の士官5人の最年少、Thelios Graythalが真新しいレザーの鎧を着て、もはやひるむことなく大股で歩いてくる。忠告を聞いてヒーラーに治療を受けに行ったのが分かりKeramore Thexは安心する

– Ailen Rashardの左手にはJerilith Sal’Kerinが歩いてくる。Ailen Rashardとは犬猿の仲なのでKeramore Thexは意外に思う。Teir’Dalには少数のメイジがいる。Teir’Dalに加わったメイジは全員鍛えぬいたEflたちで、力と栄光を得る手段として魔法を使うのではなく、魔法は単なる武器としか思っていない。Jerilith Sal’KerinはKeramore Thexと同様にAilen Rashardの短所を軽く無視できる能力がある

– 3人の後ろにはKailon RayneとLanys T’Vylが着いてくる。二人共最近昇進したばかりだがもう長い間共に戦ってきたためよく知っている。戦闘とリーダーシップのスキルがKailon Rayneを士官に昇進させた。Lanys T’VylはJerilith Sal’Kerinの度重なる推薦の末にKeramore Thexはその襟に士官のピンを刺すことを決めた。女性士官に反対というわけではないが、Lanys T’VylのTeir’Dalの責務に対する考えが士官への昇進を躊躇させてきた。まるで大昔に死んだ神に仕えていた、あまりにも深い情熱を持ち合わせた神官のようだ。今もなおLanys T’Vylの目がKeramore Thexを穴が開くほど見つめていて、心の奥深くの秘密や魂まで見透かされている気持ちになる

– 5人が敬礼してKeramore Thexの前に立つ

– Ailen Rashardが口を切る。「Teir’Dal全員準備完了です、Commander」

– 太陽を仰ぎ見る。もう朝が終わろうとしている。Keramore Thexは地面の葉とゴミを足で払い除ける。それから膝をつく。士官がそれに習い、足で払った地面を囲んで円になる。Keramore Thexはダガーを取り出し足のすぐ上の地面に突き刺す。「Bastionはここだ」地面の右側に逆さまのUを描く。「Serpent’s Spineの南隅がここだ」上を見上げるとThelios Graythalと目が合う。「洞窟の入口はどこだ?」

– Scout Masterは指でUの下に円を描く。「この辺りです、sir」

– Keramore Thexは膝をついて曲げた脚の後ろに体重をかける。「情報を繋ぎ合わせるとこうだ。どういうわけかRing of ScaleがSerpent’s Spine山脈全体の下にトンネルを見つけたか作り、誰にも見られずにそこを通って向かってきているようだ。翼の生えた獣が地下に潜るとは考えにくいから、雲に隠れながら山頂の高い位置を飛んできたのかもしれない」またThelios Graythalを見る。「敵軍はどこにキャンプしていた?」

– 若いElfは最初に描いた円とKeramore Thexが描いたBastionの真ん中辺りに2つ目の円を描く。「Trialith Valleyの平野です、sir」

– 「奴らは我々の土地勘を知らない愚か者だ。奴らが選んだ土地は我々に有利に働く」そう言ってからKeramore Thexの笑みが消える。「今日Combineは避難を開始する。だがドラゴン軍がBastionの門を攻撃していたらそれが困難になる。ドラゴンの視界にTimorous Deepに向かう船が入ったらすぐにやられてしまう。この事態を避けるためにArch Mageと仲間がイリュージョンを作り、逃げていく船を隠す。問題はドラゴンがすぐ近くに来たらイリュージョンが失敗してしまうことだ」一呼吸置いて士官の目を見てそれぞれにうなずく。「いいかよく聞け。もう10年もの間我々はドラゴンと戦い負けてきた。もう10年もの間撤退を強いられ傷口を舐めてきた」ため息をつく。「今日それが変わると言いたいところだが変わらない。こちらには少なくとも20分の1の数しかおらず数で負けている。今日偉大な勝利というものはない」ダガーを握り、Ring of Scaleがキャンプしている場所だとThelios Graythalが描いた位置を指す。「この土地はかつて我々の故郷だった場所だ。戦士一人ひとりに土地勘がある場所だ。皆ここを通ったことがあり、ここで襲われたことがある。すべての丘、谷、小道、道路、隠れ場を自分の庭のようによく知っている。今日はわずかに有利な戦いになるが、すべてを最大限に活かさねばらない」ダガーを回しBastionに突き刺す。「未来は我らにかかっている」

– Keramore Thexは地面に突き刺したダガーを引き抜き、ドラゴン軍を指す円から放射状に3本を円の上、もう3本を円の下と合計6本線を引く。「Teir’Dalは6つのグループに別れる。ウォリアー、アーチャー、アサシン、メイジ、スカウト、ヒーラーをそれぞれのグループに均等に配備する」ダガーの先を一番上の線に移し、Thelios Graythalを見る。「北側をリードしてくれ」ダガーの先ですぐ下の線を指しJerilith Sal’Kerinに視線を移す。「同じく北だがその少し下を頼む」次の線にダガーを移す。「Ailen、お前のグループにはドラゴン軍のすぐ北の山の麓を任せる。私も同じ位置の南側に就く」最後の二人を見る。「Kailon、その下の南のルートを頼む。Lanysは最南端のルートだ」

– Keramore Thexはまた膝をついた脚の後ろに重心をかける。「敵軍の偵察や巡回には絶対に動きながら対処せねばならない。1匹たりとも通してはならない。ドラゴンの元に引き返し我々が来ていることを報告させてはならない」歯を強く噛む。「Thelios、お前の兵士をJerilithと一緒に北の斜面向きに配備してくれ。Kailon、お前の兵士は南の斜面向きだ。Ailenと私は奴らの後ろ側に就く」

– 「私の兵士はいかがしましょう、sir?」Lanys T’Vylが非常に熱心に尋ねる。「お前たちには避難ルートを確保してほしい」ダガーの先を一番遠くにあるLanys T’Vylの目の前の円に移す。「Quin’Sariの廃墟がこの辺りだ。こことドラゴンのキャンプの間にいる敵を一匹残らず皆殺しにしてくれ。廃墟に着いたら我々が防衛できる場所を探してくれ。怪我人が出るはずだ、運が良ければ—」Keramore Thexが笑う。「全Ring of Scale軍が我々を追い回してくるだろう」左上の空いているエリアから真ん中の下まで波のようにうねる線を描く。「Greenblood Riverの高い崖沿いの廃墟はBastionの外では最も防衛しやすい場所だ。この辺りは木が生い茂っている」立ち上がり熱に浮かされたような目をしたLanys T’Vylを見下ろす。「有利な条件をすべて利用して、我々の拠点となり撤退できる場所を探しだしてくれ」

– 他の5人が立ち上がる。それぞれ真剣で重苦しい顔つきをしている

– Keramore Thexはダガーを鞘に納める。「奴らは今夜襲撃してくる予定だ。Bastionまで2時間ある。つまり日が落ちる頃に襲撃を開始する」顎をなでて遠くの山脈を見つめる。Ithiosarめ。いつだって頭の切れる奴だ。「ドラゴンは自軍が洞窟を出たらすぐに見つかることを予想しているだろう。だから今夜襲撃するしかない。待てば奇襲の意味がなくなる」

– Keramore ThexはJerilith Sal’Kerinの肩に片手を、もう片方をKailon Rayneの肩に置く。「奴らは計画が発覚されるのを予想しているかもしれない。だが我々がこんなに早く攻撃を開始するとは思っていないだろう。防衛に全力を注ぐべく攻城戦の準備をしていると思うはずだ」

– 「奴らが行動を起こす時、それが我々の合図になる」Thelios Graythalを指さす。「Jerilithと一緒に北の山の側面を移動しろ」Kailon Rayneに指をさす。「南を頼む」3人を見る。「英雄になろうとするな。敵と直に戦うわけではない。お前たちの任務はできるだけ自分に敵の目を向けさせることだ。弓を重点的に使え。くれぐれもコボルドを撃って矢を無駄に使うんじゃないぞ!Phyxian、ドレイク、ラプターを狙え。前衛に奴らがうじゃうじゃいるはずだ」

– Keramore ThexはAilen Rashardにうなずく。「敵軍がバラけだしたら私とお前は後ろから攻撃を仕掛ける。そこが恐らくドラゴンがいる場所になる。ドラゴンは最優先ターゲットだ。奴らを倒せばどんなに残りの軍の規模が大きかろうが統制がバラバラに崩れるだろう。これでCombineが避難するための時間稼ぎができるはずだ」

– Ailen Rashardがうなずく。言葉はいらない。二人共自分たちのグループから最も戦死者が出ることが分かっている

– 「戦士をできるだけ静かに限界まで移動させてくれ。その時弓は使うな。スピアで攻撃してからロングブレードを使え。素早く攻撃しろ。最初の敵を殺したらバラバラに撤退するように。余裕があれば弓に持ち替えてもいい。だが全速力で木の影まで戻れ」Keramore ThexはJerilith Sal’KerinとKailon Rayneの肩にまた手を置く。「我々が撤退しているのが見えたら撤退しろ」

– 「その後全員で廃墟に向かう。グループを少なくとも1マイルずつ離せ。1マイル以内を素早く移動して防衛可能な場所を見つけるんだ。後ろを確認して追いかけてきている敵を倒せ。敵が小規模のグループなら近接攻撃で対抗して矢を温存しろ。だが命を無駄にするな。数が多ければ遠隔武器を使え。敵がまとまる前にまた移動だ。できればこの戦術を20マイル続けるんだ」Keramore Thexは咳払いをする。「もっともそこまで遠くまで追っては来ないと思うがな。そこまで追ってきていたらその頃には戦士はクタクタだろう。やれることをやったと思ったらできるだけ早く廃墟まで逃げろ」

– 東を見て深く息をつく。「その後は自力でなんとかするしかない。私が考えているのは北西に移動して、使える船が見つかればそれでCombineの後を追うことができる。見つからなければ…」

– Lanys T’Vylが咳払いをする。「いかなることがあろうとも、私たちは皆あなたと共にいます」

– 他の者がLanys T’Vylを見る。Keramore ThexにはLanys T’Vylの異様な熱意は別として全員が同じ覚悟だということが分かる。しばし沈黙して指示が5人の頭に入るのを待つ。「質問は?」全員首を振る

– Keramore ThexはKailon Rayneの方を向きその右手を取り、自分の右手をKailon Rayneの左胸に置く。「Seraphsの光があなたを導きお守りくださりますように」

– Keramore ThexがKailon Rayneの右手を放すと、今度はKailon RayneがKeremore Thexの左胸に手を添える。「Seraphsの光が私たち全員を導きお守りくださりますように」

– Keramore Thexはリーダー格の5人の士官一人ひとりにこの儀式を行う

– 一通り終わるとKeramore Thexは振り返って集合しているTeir’Dalの方へと向かう。近づくと静かなざわめきがピタリと止み、全員の目が自分に注がれる。スピーチをするのは好きではない。指揮官の任務でやりたくないことがあるとしたらスピーチだ。これから命を賭けて戦い、そしてもうすぐ多くの者が死んでいく、その目の前に立ってスピーチを振舞うのが馬鹿らしく思える。だがリーダーの務めというのを誰よりも分かっている。なので過去に何度もしたように今回もまたTeir’Dalの前に立ち、深く息を吸い込み平静を装う

– 「今いるこの場所から10マイル以内にRing of Scaleがいるのはもう全員知っていると思う。この知らせはCombine一人ひとりのメンバーの心に恐怖とパニックをもたらした。だが我らはただのメンバーではない。Teir’Dalだ!」

– Norite-tipped spearを手にした全員の右腕が空に向かって突き上げられる。「ウォー!」5000人のElfの声が大地に轟く

– 「我らTeir’Dalには恐怖を感じる暇はない。敵に恐怖を与えるのに追われているからだ!」

– 再びスピアが上がる。「ウォー!」

– Keramore Thexは先頭の列を歩き出す。「すべての戦士がこの世の役目を終えた後に、人々の記憶に残ることを夢見ている。だが大多数には歌になる価値ある戦闘で戦う機会がない。お前たちにとって今日がその日だ。今日がその戦いだ。今日お前たちがすることはまだ見ぬ何世代もに渡り歌い継がれる!」

– 「ウォー!」

– 「今日がこの長い戦争の最後の戦いになるだろう。究極の勝利にはならないかもしれない。しかしこの大地をドラゴンの血で浸す!」

– 「ウォー!」

– Keramore Thexは立ち止まりBastionを指さす。「Combineの全種族にTeir’Dalの戦歌を聞かせ勇を鼓せ!」

– 「ウォー!」

– Keramore Thexは両手を上げて雲一つない青空を見上げる。「この世界のすべての神々にTeir’Dalの戦歌を聞かせよ!」

– 「ウォー!」

– Keramore Thexは戦士に目を向ける。「すべてのRing of ScaleにTeir’Dalの戦歌を聞かせよ!」

– 「ウォー!」

– 「Seraphsの光があなたを導きお守りくださりますように!」

– 「Seraphsの光が私たち全員を導きお守りくださりますように!」

– Keramore Thexはエコーが消えるのを待ってから振り向く。Lanys T’Vylと目が合う。熱意と情熱溢れる瞳にいつもなら心配するところだが、今日は特別な日だ。今日は罪を滅ぼす日だ。今日こそは愛するNeriaに会える日だ

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登場人物

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