EQNext 【Teir’Dal決死の戦い 第三章 – 栄誉 –】

登場人物

第一章 – 悲嘆 –
第二章 – 任務 –

—–

【第三章 – 栄誉 –】

 

 

——

– Keramore Thexが中庭に足を踏み入れるとSergeant Feslerと部下が正門を通って駆けてくるのが見える

– Keramore Thexの姿を見つけるとすぐにSergeant Feslerが向かってくる

– 息切れしながらSergeant Feslerと部下は気をつけをして敬礼する。「Commander—」

– 「時間がない」Keramore Thexは敬礼を返すが大股で歩き続ける。「ドラゴンの集団がすぐそこまで来ていること以外に報告することがあるというのなら別だが」

– 「い、いいえ」Sergeant FeslerはPrinceに合わせるため足を速める。「ということはあのメイジがもう報告をしたのですね」

– Elfのこの言葉を聞いてKeramore Thexはピタリと足を止める。振り返ってSergeant Feslerを睨む。「Seargent!あのメイジではなくArch Mageと言え!この世で最後の一日をダンジョンに閉じ込められて過ごしたいのか?」

– Keramore Thexの激しい応酬を前にSergeant Feslerの顔から血の気が完全に引いて縮こまる。「Sir、ぶ… 無礼を働くつもりはありませんでした。ただ私は—」

– 「考えるな。事は猛スピードで進んでいる。お前が理解するのを待っている時間はない」Keramore Thexは自分の直属の部下以外を叱るのは好きではない。しかし慣習を取り戻す必要がある。どうせやるなら今から始めよう

– Keramore Thexは外壁を指す。「お前と分隊は二手に分かれてベルタワーに向え。警報ベルをすべて鳴らせ。そのあとお前のCommanderに私が軍を招集するようにと言っていたと伝えてくれ。剣を2本持てる全種族の男女に装備を整えさせて1時間以内に戦闘準備を完了させるんだ!」

– 返事を待たずにKeramore Thexは振り向いて激しい勢いで評議会の部屋に走っていく

– 評議会の部屋に近づくと議論をする叫び声が響いてくる

– ドア前の二人のガードが気をつけをする。ハルバードの先は高い天井を向いている。ガードに頷いてKeramore Thexは評議会の部屋に入る

– 最後に出席したのは数ヶ月前だ。Neriaが死んでからは一度も…その考えを追い払う。死んだ者に気を取られていたら何も解決しない。邪心を振り払って部屋を見渡す

– 部屋にはほとんど家具がない。壁には装飾がなく、床には絨毯がない。指導的立場の者が自ら判断を下す部屋では高級品を見せびらかすべきではないという信念が父にはある。Kingがいる、ただそれだけでいいと考えている。なのでこの部屋には王座と評議会メンバーが座席に座って取り囲む巨大な大理石のテーブルがあるのみ。今朝は人々がギュウギュウ詰めなため、この大きな部屋に家具がないのがちょうどよい

– Elf、Human、Ogre、Dwarf、Gnome、Kerran—今日は貴族から商人に至るまでCombine全員がKingの指図を必要としている。壁沿いに肩と肩が触れ合うほど大勢の人々がいる。父は部屋の奥の王座に座っている。年老いて疲れているように見える。兄Eradorは立っていてCoralen Larkosと言い争いをしている。二人の戦いはもう2年も続いている。Arch Mageの人を逆なでさせる性格が評議会メンバーとの間にイバラの壁を作っている。でも今はそんなことを言っている場合ではない

– Keramore Thexが言い争いのあいだに入ろうと前に出ると最初のベルが鳴る

– 2回目のベルが鳴るとErador Thexは砦が攻撃されていないかを確認するかのように窓際に移る

– Coralen Larkosはいつものように厚かましくKingから視線を離さずじっと見つめている「日暮れとともにRing of Scaleがやってきます」
(* “The Ring of Scale attacks at sunset.”)

– はっと息を呑む音に続いて耳障りなざわめきが部屋に広がる。Keramore Thexの右で誰かが倒れる

– Erador Thexは窓から注意をそらしArch Mageに向き直る。「そんな馬鹿な」兄の不安気な声が響く。「Ring of Scale以外かもしれない」

– 来る嵐に備えるかのようにCoralen LarkosがErador Thexに顔を向ける。「あなたはもう何年も私の警告に耳を貸そうとしなかった。己の馬鹿を証明しましたな」

– Coralen!馬鹿はお前のその口だ!大きく息を吸うと周囲の者が初めてKeramore Thexに気づき、後ろに下がる

– Erador Thexの顔が怒りで真っ赤になる。「こいつを逮捕しろ。今すぐに引きずり出せ。Bastionの地下に幽閉しろ」

– Kingの専属ガードのグループが前に出る。Keramore Thexはそのような事態になって欲しくはないが、ガードは命令に従うつもりの顔つきをしている。やらせておこうと一瞬思うが、それでは何も得ることはない

– Keramore Thexがガードのリーダーと目を合わせ首を横に振ると、驚いたことにガードはErador Thexを見て指示を仰ごうとしている

– Erador Thexは明らかにまだKeramore Thexに気づいておらず、「さあ早くしろ!」と指をさす

– 「父上!」部屋の騒音の中でKeramore Thexの声がひときわ大きく響き渡る。「時間がありません。Ithiosarがやってきます」

– Keramore Thexは前に出てKingの専属ガードを睨む。「下がれ」

– 「弟よ・・・」Eradora Thexは怒り、混乱、憤慨が入り混じった表情をしている。Keramore Thexは兄を無視して群衆の方を睨む。「出て行け!」誰も動かないので太った商人のけばけばしいローブをつかんでドアに押しやる。「出て行けといったのが聞こえないのか!全員だ!ここは評議会だ。演劇場ではない」

– 奥の何人かがドアに向かって動き出す。意識を失った男の周りの者達はニワトリの群れのように突っ立っている。Keramore Thexは指を指す。「何をグズグズしている?」

– その中の一人が見上げる。「重くて持ち上げられません、Prince Keramore」

– 男の泣き言のような声のトーンがKeramore Thexの気に障り、剣を抜くのを我慢する。「その者は評議会メンバーなのか?」

– 混乱した表情で男は「違います、my Prince」と言う

– 「では引きずり出せ」Keramore Thexは我慢の限界を感じる。王座のほうに振り返るとKingの専属ガードが動いていない。「Sarthan、全員退出させろ。誰もここには入れるな」

– Sarthanはメイジをちらりと見てから視線を戻す。「My Prince、Arch Mageを逮捕しろとの命令が出ましたが」

– 「そしてお前には今新しい命令が出た。同じことを言わせるな」Keramore Thexは手を振ってSarthanをあしらうとCoralen Larkosのほうを向く。「仲良くやっていたようだな」

– Coralen Larkosははにかんだ笑みを見せ肩をすくめる。「言ったとおりでしょう。誰も私の言うことは聞かないと」

– 「今からは言うことを聞くはずだ。警報ベルを無視することはできないからな」Keramore Thexがそう言うとちょうどベルが鳴り止む

– Keramore Thexは窓際に立つ兄の方に歩み寄り「Eradora…」と言いかけるが、父が王座から立ち上がったため続きを飲み込む

– Keramore Thexは頭を垂れ、評議会メンバー全員が膝をつく。なぜかArch Mageだけ突っ立ったままだ。 Coralen、これ以上馬鹿な真似はやめろ

– 永遠とも思えるほど長い時間のあとArch Mageは片膝をつく。Kingをじっと見つめる目を離さないことにKeramore Thexは気づく。いつだって横柄な奴だ

– Kingが高座を降りよろよろと前に歩いてくる。「息子よ、話してくれ」

– 「父上」顎を上げてKeramore ThexはKingの目を見て話す。「ドラゴンに動きがありました。北方で我々の一族を狩っていると思われていましたが、どうやらSerpentspine Mountainsの地下にある秘密の通路を見つけたようです。今こちらに向かっています。遠方の偵察が2人昨夜から行方不明だと報告されています。また他の2人は何千という大群を目撃しています。3人の偵察はまだ帰ってきておらず、このまま帰ってはこないと思われます」帰ってこない偵察の名前を調べて追悼するリストに加えて覚えておかなければ。もう何千人も私の指揮下で命を落としている

– 「では今すぐエクソダスを開始しよう」KingがEradora Thexに命じる。「持てるものを持って船に乗るように皆に伝えなさい」

– 「人々がパニックになります」いつでもEradora ThexはThex家でも悲観的な考えを持っている

– 振り向いてKeramore Thexは兄を睨みつける。「そんなことはコントロールすればいい!」

– Keramore Thexとの力での争いになるといつも通りEradora Thexは縮こまる。「船の準備がまだだ」

– 「ならば準備ができているものを使えばいい」Keramore Thexは怒りを吐き出す。「未完成の船を壊して板をつないでいかだを作るんだ。まとめて船で引けば良い」

– Eradora Thexは懇願するようにKingを見つる。「父上、うまくいくはずがありません。ドラゴンに船が出るところを見られて空から攻撃されてしまいます。海では防御できません。海から逃げるのは不可能です」

– 兄の言うことが正しいことが分かっているのでKeramore Thexは髪をかきむしる。「そうかもしれないな」

– Keramore Thexはまだ膝をついているArch Mageの方を向く。「お前はもう1年以上もあの戦争には負けたことをこの評議会に警告し、誰一人としてその言葉に耳を貸さなかった。私のプライドが負けを認めたくなかった・・・Neriaが殺されるまでは」

– Keramore ThexはCoralen Larkosに近づき手を差し伸べて起こす。「我が一族絶滅の危機から救ってはくれないか?」

– Arch Mageが無表情なのを見て、Keramore Thexはこれまでの評議会の仕打ちがどんなに辛かったことかということに初めて気づく。「私を助けてくれないか?」

– メイジは自分に課せられた不可避の義務への返事をまるで実際に考えているかのようにすぐにはしない。そしてついにうなずく。「わかった」

– Keramore Thexは気づかないうちに緊張していた肩の力が抜けるのを感じる。「何ができる?」

– 「魔法です」Arch Mageは顎をなでながらこたえる。「イリュージョン魔法でドラゴンが見たいものを見せます。不意打ちをかけたと思い込んだドラゴンは船は港にあると予想し、城壁には兵士、人々は中に閉じこもって死ぬのを待つばかりと思い込むはずなので、イリュージョンでその光景をドラゴンに見せてBastionで足止めしましてそのあいだに船を出港させます」そう言って自信あり気な笑みを見せもう一度繰り返す。「船が出港できるよう時間稼ぎをします」

– Eradora ThexがKingとCoralen Larkosの間に立つ。「無理に決まっている。港に最初にたどり着いたドラゴンがイリュージョンを見破ってみんな虐殺される」

– 長男としてEradora Thexが父の跡を継いで政治の道を進むのは理にかなっている。だが時折Keramore Thexは兄の言動に胸が悪くなる

– Keramore ThexはEradora Thexの肩に手を置く。「では私がTeir`Dalと一緒に前線でドラゴンを足止めして時間稼ぎをして、ドラゴンが港にたどり着けないようにしよう」Arch Mageの方を向き目を合わせる

– 「目をそらすものが必要ですか?」

– 「目をそらすもの」Coralen Larkosと同時に繰り返す

– 兄は二人を交互に見る。「どういう意味だ?我が軍を開けた場所でドラゴンと戦わせるわけにはいかない。全滅してしまう!」

– Keramore Thexは首を横に振り父の方を向く。「海を超えるためには船にも軍が必要だ。それに少数でもドラゴンの目をそらすことはできる。私がTeir`Dalと一緒になんとかする」

– 「駄目だ」末息子を見るKingの目に苦悶が見える。KingはKeramore Thexの頬に手を添える。「駄目だ。お前は私の息子だ。死なせるわけにはいかない」

– 「自分一人が死ぬか全員が死ぬかのどちらかです」Keramore Thexは父を安心させるように微笑みかける。「父上、ドラゴンが相手でもTeir`Dalはそう簡単には死にません」たとえ死んでもNeriaと一緒になれる

– 「My King、私もそう思います」Coraren Larkosが立ち上がりKeramore Thexに向かってうなずく。「Teir`Dalがドラゴン軍を相手に時間稼ぎするあいだにイリュージョンを作り、幻影をみせてドラゴンの気をそらします。たとえ小さな兵力でも壁にいるだけでも少し時間を稼げます。漁船から小舟まですべての船に人々を詰め込んで、イカダを作って—」

– 「何千人も命を落とすことになる!」たった今現実味を帯びてきたかのようにEradora Thexがパニックに陥った顔をする

– 「だがそれ以上に生き残ることができる」Kingはシミだらけの手をEradora Thexの肩に置く。「息子よ、お前は生きてKingになるのだ。いつの日か選ばねばならぬことの難しさを学ぶだろう」それからKeramore Thexと目を合わせる。「そして時には選択肢がないことを。本当にいいのか?」

– Keramore Thexはうなずく。「父上のおっしゃる通り、時には選択肢などないことがあります」Kingの目に涙が溢れているのを見て驚く

– 「ならばそうしよう」Kingはため息をつき振り返り、のろのろと私室に戻っていく

– Keramore ThexはKingが部屋から立ち去る前に兄を窓際に引き寄せる。「Erador、二人共子供の頃から違う道を歩んできた。だか私がこの任務を軽々しく受けたとは思わないでほしい。人々を救うために引き受けるのだ。人々に新たな人生の機会を与えるために引き受ける」Eradora Thexの後ろを見て誰にも聞かれていないことを確認する。「父上の言う通り、お前はいつか良いKingになる。もしこれが最後に交わす言葉なら心に留めておいてほしい。政治とは貴族同士がお互いに気に入られるためだけに遊ぶゲームではない。我々には率いる人々に対する恩義がある。この恩義を一人ひとりに毎日返さねばならぬことを理解している者こそが最も優れた指導者というものだ」

– Eradora Thexは長い間Keramore Thexを見つめる。あまりにも長いため自分の言った言葉が伝わっていないのではと不安になる

– それからEradora ThexはKeramore Thexを抱擁する。「じゃあな、弟よ。これが永遠の別れにならないことを祈っている。もしもここで誰かが生き残り合流することができたなら、それがお前であってほしい」顔を上げると涙がとめどなく流れている

– 「まだ死んでいないぞ、兄よ」Keramore Thexは笑う。「期待しているぞ。息子のFaelonのことを頼む。父上と評議会メンバーの安全を任せた。海の向こうで何が待っているかは分からないがCombineがたどり着いたら皆をまとめて率いることになるから覚悟をしておいてくれ」

– 涙を拭いながらEradora Thexがうなずく。「うんうん、わかった、弟よ、わかった」

– 兄の肩を最後にポンと叩いてKeramore ThexはCoralen Larkosに向き直りうなずく。「Coralen、私たちにはここ最近意見の食い違いがあった」

– メイジが咳払いをする。「ここ最近大勢の者たちと意見の食い違いがありました」

– Keramore Thexは言い返すのを抑えて唇をすぼめ、返事をする前に数歩歩く。「まあそれはそれとして、本気なのか?」

– 「どういう意味ですか?」 Arch Mageの口調に非難の色が伺える。 強い憤りが伝わってくる

– 「深い意味などない、Coralen」Keramore Thexは長いため息をつく。「私たちはずっと友人だった。お互い自分を守るために戦ってきた。自分たちの命を守ってきた。確かにNeriaの死が堪えたのは認める」床に目を落とす。「…いまだに…堪えている」顔を上げるとCoralen Larkosが自分をじっと見つめている。「だが今我が一族の運命は首一枚で繋がっている。お前が自らの意思で一族を救おうとしているのかが知り合い。たとえどんな最後が待っていようともだ」

– Coralen Larkosは永遠と思えるほど長い間自分を見つめる。そしてついにもうずっとKeramore Thexが見ていなかった表情に変わり、それから笑顔になる。「危機に瀕することは理解しています。私が負け知らずのメイジだということをお忘れですか?その名に恥じる真似はしたくありません」

– Keramore Thexは手を差し出す。メイジがその手を取ってくれたことにほっとする。旧友のように二人は握手をして微笑みを交わす。その手を最初にKeramore Thexが放す

– Keramore Thexは一度も振り返ることなく、Amarilでの最後の日に必要な物を集めに宿舎へと向かう

——

* “The Ring of Scale attacks at sunset.” はサンドアートで引用されたセリフ

EQN: 夕暮れとともにRing of Scaleがやってくる

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