EQNext 【Bastion陥落 第十章 – 陥落 –】

登場人物

第一章 – Compulsion魔法 –
第二章 – 地下堂 –
第三章 – 会合 –
第四章 – 別離 –
第五章 – イリュージョン –
第六章 – 猛襲 –
第七章 – ライトニング –
第八章 – 犠牲 –
第九章 – Affliction魔法 –

——

【第十章 – 陥落 –】

 

 

——

– 太陽の光に気づいてCoralen Larkosが目を覚ます

– 隣でMerionが木の切り株に片手をついて立ち、北壁の向こう側の小さな雲を眺めている

– ヒーラーが外壁をまわって負傷した兵士にできることをしている

– 3人のElfが近くに座って笑いながら冗談を言っている。それぞれ包帯をして服は破れて血で汚れているが少なくとも生きている

– 太陽が壁の上まで昇ろうとしていることからまだ朝早いことが分かる。秋の日差しは心地よく、暖かい光をさしている

– 「私を父と呼んでいた」Coralen Larkosが言う

– Merionが見下ろす。「目が覚めたのですね。あの最後の魔法のあと、あなたは1ヶ月は眠りに落ちるかと思いましたよ。何でしょうか?」

– Coralen Larkosは「お前が私を父と呼んでいた。戦闘中だ」と言う

– Merionは微笑む。「空耳でしょう、my Lord。あなたの年齢のElfによくあることと聞きます」と笑ってから壁の方をまた見る

– 手すり壁を見張り番がパトロールしている

– 「Lieutenant Fesler」Coralen Larkosが呼ぶ。あまりの疲れに起き上がれない。「英雄の気分というのはどのようなものだ?」

– 「さあ、どんな気持ちか分かる日が来るかどうか」と不満そうにこたえ、Coralen Larkosが笑う

– Coralen LarkosはLieutenant Feslerの左肩を見て記章を拾ったことに気づく。右肩には何もない。「Masteronはそれしか持っていなかったのか?」

– Lieutenant Feslerは「Jongleurです」と訂正する。「それにJongleurの左腕しか見つかりませんでした。Masteronは見つかりませんでした」

– 「我々の戦力は約200人になっている。そのうち50人の兵士しかスピアか弓を持てない。大多数が負傷している。そのうちの半分が生き残るかもしれない」Coralen LarkosはLieutenant Feslerを見ながら言う

– 「Lieutenant、無礼を言うつもりはありませんが、他に何もないならArch Mageを休ませてやったらどうでしょうか」Merionが言う

– Lieutenant Feslerは弟子の言うことを無視して「My Lord、こちらに来てください」と言う

– Coralen Larkosはあくびをする。Merionの言うとおり1ヶ月ほど眠ったほうがよさそうだ、と思いながら理由を聞く。見たほうが早いのでとにかくついてきてくれと言う

– Merionが抗議の声を上げようとするがCoralen Larkosが制止してLieutenant Feslerに案内させる

– Lieutenant Feslerは始終無言で二人を門の外へ、そして屋上の見張り塔に続く螺旋階段に案内する

– 暗い要塞から陽のあたる明るい場所に出る。近づいていくLieutenant Feslerに見張りが敬礼しCoralen Larkosが顔をしかめる

– Lieutenant Feslerが北の方角を指す

– Coralen Larkosはまばたきをする。まだ眠気でまぶたが重い目で山の背の下にある何千もの死体をとらえる。その上には鳥のような生き物が何匹も飛び回っている

– 「5万匹以上いると予測されます」Lieutenant Feslerは静かに言う。「コボルド、ドレイク、Phyxian、Raptorもいます。上空にいるワイバーンは100匹かその2倍でしょう」

– Merionが息を呑む。「ということは私たちは・・・」

– 「前衛を倒した」Coralen Larkosが遮る。「それ以上でも以下でもない」Lieutenant Feslerに向き直る。「兵士にはもう警告をしたのか?」

– 「いいえ」Lieutenant Feslerは無表情でこたえる。「まずあなたと話してからと判断しました。もう船はいません。脱出を指示すべきでしょうか?」

– Coralen Larkosは首を横に振る。「外で一人ずつやられてしまう。壁の内側からならほんのわずかだとしてもまだチャンスがある。警報を鳴らせ。防衛を配置につかせろ」

– Lieutenant Feslerはうなずいて見張りに命令を出す

– 「なぜあんなに冷静でいられるのでしょうか?」Merionが青ざめた顔で言う。「全員死ぬということを理解していないのでしょうか?」

– 「全員ではない」Coralen Larkosはつぶやいて警報が鳴り響くなか弟子の袖を引く。「行くぞ。船に乗るのだ、さあ」

– Merionは引っ張られた袖を振りほどき怒りのこもった目で言う。「みんなを置いて私たちだけ逃げるというのですか?」

– 「最初からその予定だったじゃないか」Coralen Larkosが厳しく返す。「お前も分かっていただろう。最初からこの戦いは勝てない戦いだったのだ」

– 「私たちが軍を壊滅させました」Merionが反論する

– 「そしてその結果パワーを使い切った。Merion、防衛の半分が死んでいるのだ。Ogreは全滅だ。Dwarfもだ。もう力は残っていない。向かってくる軍はこれまでの敵よりも強い。我々に何ができるというのだ?」

– 「戦うことです」Merionがすぐ返す

– 「死ぬことだ」Coralen Larkosが続ける。「無駄死にすることだ。我々は夢見たことすべて、いやそれ以上のことをもうやり遂げた。さあ手遅れになる前に黙って着いてこい」

– 外は騒々しく、まだ招集ベルが鳴り響いている。足を引きずりながら壁に向かっていく者が見える。Sergeantたちが大声で指示を出している。二人のメイジが逆方向の南壁沿いの庭の方向に歩いていることに誰も気づかないようだ

– お前は本物の伝説になる。心の声が聞こえる。軍を潰したArch Mage。ほぼ全員死んだなか生き残ったArch Mage。このような伝説があればKingと戦えるかもしれない。腐り切ったCombineにとどめを刺して新たにKoada`Dalの帝国を築きあげるのだ。お前はただ生き残るだけでそれが実現できるのだ

– 「Coralen Larkos!」

– その二文字の言葉は空気中の酸素を一瞬にして吸い取り、執念深い怒りが満潮の波になって壁に次々と反射してゆく。Coralen Larkosは希望が立ち消えるのを感じる。よろついて激しく襲う吐き気に耐える

– 音が消え深い沈黙が訪れる

– Ithiosarだ

– Coralen LarkosはMerionの肩を掴む。「船に行け。すぐにだ。私を待たずに行くんだ。私はできるだけ足止めする」

– Merionは頭を振る。「手伝います」

– 「無理だ。誰も手伝うことはできない」

– 「ならば一緒に来てください」Merionの目に涙が溢れる。「お願いだから一緒に逃げてください。私たちはまだ逃げられます」

– Coralen Larkosは笑い出しそうになる。あと少し、あともう少しだったのに。最後の最後で失敗とは

– 「Ithiosarが来る。私がいないとLieutenant Feslerの戦士は5分ともたない。トンネルを抜けた頃には出口でIthiosarが待っていることになる」Coralen Larkosは言葉に詰まる。Merionを引き寄せしっかり抱きしめながら自分の目から涙が溢れ出ていることに驚く。「お前が逃げられなかったらすべてが、私の人生すべてが無駄になる。お前のためなら喜んで死ぬ。息子よ、お前は何としてでも生きるのだ。絶対に生きてくれ」

– Merionはうなずき何か言おうとするも嗚咽が漏れて言葉にならない

– Coralen Larkosは隠しゲートにMerionを強く押しやり、振り向かずに立ち去る

– 手すり壁ではLieutenant Fesleとその部下の兵士が整列して待機している。こちらを見ないので涙が伝ったあとが残った顔は見られていないようだ。山の背に視線を集中している

– Ithiosar the Blackが山の背から押し寄せてくるドラコニック群の上にタワーのようにそびえ立つ。ヘルムのような頭、ギラギラした巨大な目が太陽の光を受け瞬きする。木の幹のように太い100フィートの尾が地面に垂れている

– 「また会ったな、Arch Mage」Ithiosarの声が谷にこだまして轟く。「前回は運がよかったな。だが今回は違う」

– Coralen Larkosは「そうだな」と言うがその声があまりにもか細い。「今回はお前を殺す」

– Ithiosarが嫌な笑い声を立てる。何千という死者の骨が地獄のオーケストラを奏でているかのようだ

– 続けてIthiosarが言う。「それはどうかな。死ぬのは貴様だ。Thexの腰抜け特攻隊が死んでいったようにな。Thexはもうすぐ死ぬが貴様はすぐには死なせない。我が軍が貴様の哀れな防衛を皆殺しにして生き地獄を見せてやる。それから最後のCombineを殺しBastionから根絶やしにしてやる。貴様の目の前で最後のElfの腸をくりぬいてその内臓をしゃぶり尽くしてから貴様を死なせてやる。貴様はこの情けに感謝するだろう」

– Coralen Larkosが笑い、笑ったことに自分でも驚く。ついに気が触れてしまったのかもしれない。 一生負け知らずのArch Mageでいられると思っていたこと、逃げられると思っていたこと、勝てると思っていたこと、このすべてが狂っていたのかもしれない。いや違う。もうすでに勝っているのだ。Merionを救ったのだ。それ以外は他のどんなことも意味はない

– Coralen Larkosは「愚か者めが」とIthiosarにつばを吐く。「その傲慢な態度がまたしてもお前を窮地に陥らせるのだ。お前が見ている者達が最後に残ったElfだ。お前が今ここにいる者を皆殺しにしてもCombineは生き続ける。そして目を閉じ眠りにつくたびに報復と恐怖の悪夢を見るがいい」

– Ithiosarは「そんなはずはない」と鼻で笑う。黒い頭をかしげ巨大な首を伸ばし空気を嗅ぎ目を細める。それから口の周囲の皮膚が唸り声にひきつる。「皆殺しだ!」

– 不協和音の野生の叫びとともに、Elfの血に飢えたRing of Scaleが矢の攻撃を無視して流れ出てくる。ワイバーンが手すり壁に来る。Ithiosarが怒りの叫びと共にCoralen Larkosに向かって突進してくる

– Coralen Larkosは左に飛んで最初の攻撃をかわし、ライトニングボルトをIthiosarの脇腹に打つ

– ビクともしないIthiosarは分厚く渦巻く炎で応酬し、それをCoralen Larkosはなんとかシールド魔法に転換する

– 一瞬で骨から肉が削がれ十数人のElfがその場で消える

– Coralen LarkosはIthiosarの顔に向かってファイヤーボールを打つが素早くかわされ、ワイバーンに当たる

– Ithiosarが巨大な爪を振り上げるとCoralen Larkosは崩れた壁の方向に転がり、そのまま中庭に落下する。空の樽に体を打ちつけ木がばらばらになり、投げ出されて仰向けになる

– 「メイジよ、弱くなったな。強かった貴様を覚えている」Ithiosarが嘲笑う

– 確かにそうだ。今の私は弱い。昨夜の戦いのあとでもうライトニングボルトを打つしかエネルギーが残っていない。Afflictionも効かないだろう。弱すぎる。Merion!やれることはやった

– 猫のようなしなやかな動きでIthiosarは壁を超え中庭に降り立つ。鋭く尖った舌が刃物のように恐ろしい歯の間をちろちろ動いている

– 「意識を殺すのだ」Coralen Larkosの声が頭のなかで駆り立てる。「意識を殺せば肉体は死ぬ!」

– 最後の力を振り絞り、Coralen Larkosは地面からエネルギーを召喚する。いくつもの色合いをした霧の蒸気のなかでそのエネルギーを空気に突き刺し、自分の意識をドラゴンの意識と連接させる

– 意識のなかにイメージが光る。何百という町が燃えている。何千という人々が死んでいる。狩りの楽しみ。Combineが海の向こうに逃げたと知った怒り。戦わねばならないという意思

– Coralen Larkosの力が徐々に薄れていき、Ithiosarが意識を守りイメージを粉々に砕く。頭が爆発しそうなくらい圧力が増してゆく。今度はドラゴンがCoralen Larkosの意識に入り込んでくる。激しい苦痛に悲鳴をあげ、死が頭をよぎる

– そこで急に苦痛が止む。汗だくのCoralen Larkosは死んでいくElfの叫び声と燃えてゆく死体の音を聞く

– 「貴様の秘密を知っている」Ithiosarがうなる。「メイジよ、貴様の野望を知っている。貴様の内で煮えくり返る邪悪を知っている」

– Ithiosarがにじり寄る。刃物のように鋭いツメがCoralen Larkosの胸に乗せられている。ほんの少しの圧力で体を突き抜けるだろう

– IthiosarがCoralen Larkosの顔ギリギリまで鼻を近づける。つばを吐いてやろうと思うが恐怖に口が乾いてできない

– 笑いながらIthiosarは「これを死とは思うな」と言う。「解放だと思え。Coralen Larkos、貴様を自由にしてやろう。永遠に解放してやろう」

– Ithiosarの唇がめくれ口が大きく開く。ドラゴンの奥深くからどす黒い泡が吹き上がり破裂する

– Coralen Larkosはその黒い泡が勢いよく自分を包み込むのを目にする。すべての光が、そしてすべての音が、黒い世界と苦痛だけになるまで吸い取られる

– そうしてCoralen Larkosは息絶える

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登場人物

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