EQNext 【Bastion陥落 第七章 – ライトニング –】

登場人物

第一章 – Compulsion魔法 –
第二章 – 地下堂 –
第三章 – 会合 –
第四章 – 別離 –
第五章 – イリュージョン –
第六章 – 猛襲 –

——

【第七章 – ライトニング –】

 

 

——

– 「ドラゴンだ!」Coralen Larkosの叫び声が他の大勢の恐怖の叫び声の中に消える

– 耳を突き破るような唸り声をあげながらドラゴンが飛び込んでくる

– Merionを自分の方に勢いよく引っ張り寄せ床に伏せる前に、Coralen Larkosはドラゴンの毒マムシのようなストライプの紫と黒い頭を目にする

– Merionが何かぼやくがその声は音と炎と苦痛の叫びで大混乱の音にかき消される

– Coralen Larkosは背中でローブがくすぶるのを感じながら転がって仰向けになると、巨大な姿が上空を横切り、その大きな翼が下にいる生存者に熱い空気の波を吹きつける

– ドラゴンは勝利の雄叫びを上げて忽然と姿を消す

– 「奴はイリュージョンを突き抜けていった」Coralen Larkosは息を呑み、焼けた肺から強く咳をする

– 足元に這ってくるMerionを見てどっと安堵が押し寄せ身震いする

– 黒焦げのものが手に落ちてきて火傷してひるむ弟子の袖を引っ張り、Coralen Larkosは大丈夫かと尋ねる。すすだらけのMerionは青白い顔でうなずく

– Coralen Larkosは壁にいて立っているのはほぼ二人だけだということに気づく。楼門と北壁の中ほどを一掃したドラゴンファイヤーから生き延びたElfは数えるほどしかいない。倒れている大勢の者はそのよじれた体から煙を立てている。戦士がいた場所は大きく空いて石に黒いシミを残している

– 立っているのがやっとのLieutenant Feslerは、火傷して黄土色の顔に傷跡が白く見える

– Brozkaが消えたドラゴンに唸り声を上げる。プレート鎧が炭素で点々として見え、その目にはドラゴンファイヤーが映し出されている

– コボルド軍が奇声を上げて一丸となって再び坂を降りてくる

– 「Fesler」Coralen Larkosが呼ぶ。「生存者を集めろ。外壁に就く兵を全員ここに整列させてくれ。そうしなければBastionが陥ちる」

– ひどい火傷と服からはまだ煙が出ているというのにまったく痛みを見せずにLieutenant Feslerはうなずく

– 「Merion。着いて来い」Coralen Larkosが言う

– 「ここでは自分を必要としています」Merionが反論する

– 「あのドラゴンを倒さねば」鋭くCoralen Larkosが言う。「我々がやらなければ全滅してしまう。Bastionは無駄に陥ちることになる!」

– Merionがうなずき、二人は死体や瀕死のElfを乗り越えて、どんどん敵が入り込んでくる中を右へ左へと避けながら壁沿いを急ぐ

– 走りながらCoralen Larkosは全身鎧を着ているかのようだ、と思う。イリュージョンの維持でくたくたになっている

– 壁沿いを南に急角度で曲がり全速力で走り、二人はイリュージョンの滝を突き抜ける

– イリュージョンを抜ける際に身体的な衝撃が全くないことにCoralen Larkosは驚く

– イリュージョンのあちら側からは要塞とひとけのない浜辺が、こちら側からはたくさんの船が浮かぶ海が見える。多くの船が水平線に向かって進んでいる。浜辺から1マイル以内の船は沖に向かって懸命にオールを漕いで潮と戦っている

– 1隻の船が火の柱に浮き上がる。船の周辺の海水からわずかなしぶきが上がり、炎に包まれた船員と難民が生き残りをかけわずかな望みを抱いて船の外に飛び込む

– 不幸な運命を背負った船の真上でドラゴンが次のターゲットを狙う

– 「Seraphsよ、感謝します」Coralen Larkosがほっと息をつく

– Merionはショックを受けた表情をしている

– 「ドラゴンはまだイリュージョンのこちら側にいる」Coralen Larkosは説明を続ける。「知能の高い生き物なら、もしもこれがIthiosarだったなら、戻って軍に船のことを報告し、Bastionは無視して全員で船を攻撃するだろう。だが欲が出たドラゴンは自分だけで船にちょっかいを出し始めている。Ithiosarだったら全員死んでいたところだった」

– ドラゴンはマストが1本の貨物と戦士を積んだ船に突進する。矢が放たれるがドラゴンの分厚い皮に当って跳ね返る。炎が船を飲み込むと遠くで悲鳴が聞こえる

– Coralen LarkosはMerionのほうに振り返る。「ここからドラゴンまで魔法が届くか?」

– 厳しい顔つきでMerionは首を横にふる。「試してみてもいいですが、この距離だと船にも魔法が当たってしまうでしょう。それに当たったとしても魔法の威力が薄れているはずなので、その効果はドラゴンの気を引くだけにとどまるでしょう」

– 「では気を引いてくれ」Coralen Larkosが言う

– Merionはうなずいて足の下の石の壁に顔を向ける

– Coralen Larkosは自分より若いメイジが師の自分を含めた周囲からエネルギーを吸い集めている様子に寒気がする

– Merionの息遣いが安定すると、1、2、3で深く息を吸う。すると弟子は顔を上げて顎を固定し遠くのドラゴンを指す

– よじれてうねるラインを引いて雷光が走る。空を明るく照らし水面がまぶしく反射する。閃光の先がさざ波のように織り進み、前に突き進んでターゲットの左の翼に当たる

– 痛みでドラゴンがうめき声をあげ、鱗のかたまりが飛び散り海に落ちる

– この距離でドラゴンの鱗を落とすとは相当なパワーだ。自分にはこれほどのダメージを与えることができただろうか?とCoralen Larkosは自問する

– 頭を左右に振りながらドラゴンは岸の方に向き直り、声を上げながらこちらに向かって飛んでくる

– 「よくやった」とCoralen LarkosはMerionをねぎらうも、少年の笑っているような笑っていないような表情には恐怖が見える

– Coralen Larkosも恐怖を感じている。イリュージョンの重みで丸裸のように思える

– MerionはドラゴンとCoralen Larkosのあいだに立つ

– ドラゴンが近くまで飛んできて今まさにドラゴンファイヤーを吐き出そうとしている

– Coralen Larkosはもう一度Merionを見る。決意と恐怖の入り交ざった表情をしている。自慢の息子よ、期待しているぞ

– Merionは両手を掲げて雷光を放つ

– ドラゴンの目が大きく見開き一瞬その体が青い雨雲に包まれる。そして雷光が海藻のようにドラゴンの体にまとわりつき小さな稲妻が幾重にも重なりひとつになってエネルギーが放たれる。うめき声をあげるドラゴンの頭がい骨、背骨、肋骨が真っ暗な夜に白く光る

– ドラゴンの死体が壁に当たる衝撃で石が落ちてくる前に、Coralen LarkosはMerionをつかんで後ろに引き寄せる。壁が全壊して野獣の上に崩れ落ちる

– ホコリが舞い上がりMerionは咳をする。Coralen Larkosは髪についたホコリを払ってやる

– 「私の人生で最も栄誉なことはなにか話したことはあったか?」Coralen LarkosがMerionに尋ねる

– Merionは肩をすくめる。「言おうとしていることは分かっています。Arch Mageにはなる気はありません。栄誉なことなのは理解していますが」

– 「Arch Mageのことではない」Coralen Larkosが遮る。「お前が私の弟子だということだ。これ以上の栄誉はない。今までで何人のCombineのメイジがドラゴンを2匹殺したか知っているか?」

– 「いいえ」Merionがこたえる

– 「二人だ。今ここにいる二人だ」

– Merionが微笑む。「それもこれもみんな師のおかげです」

– 壁沿いが急に静まり返っていることに気づく

– Coralen Larkosの胃がキリキリとする。 大丈夫だ、イリュージョンはどちら側からも効いているじゃないか

– Coralen Larkosは半分埋もれたドラゴンを最後にチラリと見て、Merionを連れて壁際に戻りまたイリュージョンを超える

– 二人はイリュージョンの先で敗北の世界を見る

– ほとんどの防衛は手すり壁とともにもぎ取られコボルドが足場を得ている。壁の上には小さな死体が無数にあり、Elfの剣がその死体に突き刺さって光っている

– 血まみれのLieutenant Feslerは死体の合間を縫って近くの槍兵のところに向かっている

– 外壁から矢で攻撃されているにもかかわらず絶え間なくコボルドが中庭に落ちてくる

– Dwarfのエンジニアが新たな敵のほうに急ぎ、一瞬斧とハンマーで追い込むがその上からさらにコボルドが落ちてくる。戦いはすぐに決着がつく

– 笑い声を上げながらコボルドの大群が正門から押し寄せてくる

– 「父上」Merionが叫ぶ。「イリュージョンを解いてください。奴らをここで止めなければ全滅してしまいます。私一人では無理です!」

– Coralen Larkosは首を横に振る

– 「あとでまたイリュージョンをかけることができます。奴らからは見えないかもしれません。少なくともそうすればこちらにもチャンスがあります」

– この子の言うとおりだ。要塞が陥ちればお前は船に乗れない。ここで死ぬのだ。何千という愚か者と一緒に死ぬのだ。それに世間はこの失敗を忘れないだろう

– Coralen Larkosは溜息をついて目を閉じ、イリュージョンが体から解き放たれていく苦痛に耐える。「戦闘に負けたことのないArch Mageよ、これをどう取るというのだ?」あざ笑う自分の声がする

– 途方もなく大きな音とともに門が開く

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登場人物

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