EQNext 【Bastion陥落 第四章 – 別離 –】

登場人物

第一章 – Compulsion魔法 –
第二章 – 地下堂 –
第三章 – 会合 –

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【第四章 – 別離 –】

 

 

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– Coralen Larkosは北門の屋上で立ち止まる。長い髪が秋の冷たい風に吹かれる。霧に包まれた山の麓に向かってTeir`Dalが死の行進をする様子が見える

– 5000人のTeir`Dalが6列に整列して前進する圧倒される光景。それぞれがNorite-Tipped Spearを、大半が剣と弓も携えている。その数だというのにまったく音をさせずに行進している。装備がぶつかる音さえ聞こえない

– 行進が始まる前にTeir`Dal軍の先頭にKeramore Thexの姿がちらりと見え、どのTeir`Dalよりも屈強とみられる女性戦士と真剣に話をしているのを目にする

– Keramore Thexは一度も振り向かずに前進してゆく。部下の何人かは壁の方を振り返るが、それぞれが恐怖や安全を願う顔ではなく、落ち着いていて防衛を任された軍人の誇り高き顔つきをしている。ここに残って覚悟を決めた者の役目を確認し、任務を果たすために英雄たちが出発してゆく

– 英雄たちか。どうやらそこら中にいるようだ。Bastionの外壁の防衛には千人の志願兵を募ったが、その4倍やってきた。海の向こうに撤退する恥知らずと顔を合わせるよりも、戦いたくて目をギラギラさせた血気盛りの者たちばかり。若さというのはなぜこんなにも愚かなのか。Coralen Larkosは頭を振る

– 下を見ると武器の山と大勢の戦士が戦闘準備をしているなかをかき分けてゆくMerionの姿が見える。ここにもまた愚か者がいたか、と誇らしく眺める

– 「何がそんなにおもしろい?」いい気分に浸っていたところ邪魔をされる。微笑みが消え険しい顔で振り向いて見上げる。ほとんどの者がArch Mageを長身だと思うが、話しかけてきたのはタワーのようにそびえ立つ男だ

– 「ドラゴンを倒すのを楽しみに待っているところだ」Coralen Larkosは嘘をつく

– 「ならいい」鎧を着た巨大な胸の奥底から唸るような声でOgreが言う。「戦いに喜びを見出すのはいいことだ。見かけよりも軟弱ではないようだな」

– Coralen Larkosは無理に笑う。「Brozka、お前がそう言うなら褒め言葉と取ろう。お前の兵士と一緒に戦うだけの価値があることを証明できるよう全力を尽くす」自分で言って笑い転げそうになる。劣等種族は嘘で巧みに操ることができるのに、なぜ評議会は手遅れになるまで話を聞かないのだ?

– 「落ち着かない」Brozkaがつぶやく。「一日中待っているのに何もやってこない。奴らの鳥しか来ない。これは戦争じゃない。自然観察だ」低音の笑い声が分厚いスチール製プレートメイルを震わせる。「貴様らElfは自然が大好きだからな」

– Coralen Larkosは無表情を保つ。なんという馬鹿な生き物だ。あれは鳥ではなくワイバーンだ。この馬鹿はなぜエクソダスの開始を待っているのか分かっているのだろうか?闇が船を守ってくれるからだ。闇から生まれた生き物からでさえも

– 「お前の戦士たちは準備ができたのか?」咳をしてからCoralen Larkosが尋ねる

– 野獣が鼻を鳴らし腰のメイスの柄を触る。スチールの先がワイバーンの頭ほどの大きさをしていとも簡単に叩き潰せそうだ。「我が戦士たちは生まれた時から戦闘準備ができている」唸るような声で言う。「伝説は永遠に生きる」

– そしてお前は死ぬのだ。Coralen Larkosは笑いを押し殺す。Elfが大勢死ぬのは残念だがOgreは別だ。奴らは戦うために生きている。恐らくBrozkaはこれからやってくるドラゴンによる虐殺を栄光を手にする機会だと思っているだろう。馬鹿で野蛮な生き物だ。Koada`Dalが闇から現れ出て、復活を遂げたTakish Empireの正当な支配者となった日にはOgreは奴隷に戻ったほうが幸せだろう

– また一つ生き残らねばならぬ理由ができたな、とCoralen Larkosの心の声が言う。Koada`Dalの時代が来たらお前は最も名高い英雄として高い位につくことだろう。生きてその褒美を受けるのだ

– 金属と革と汗の臭いに息を止めながらBrozkaに調子を合わせてうなずき、Coralen Larkosは中庭に続く階段に出る

– 途中Merionに会い、中庭に戻ってくるよう手招きする

– 「外壁にいるぺきではありませんか?」Merionは困惑する

– 「日が暮れるまでは動きはないだろう。まだ時間はあるから慌てるな。それに話したいことがあるはずだ」Coralen Larkosが促す

– 「はい、船は」Merionが言いかける

– 「ここでは話すな」Coralen Larkosがシッと遮る。兵士が数人こちらを見る。兵士が目をそらすまで見つめ返す。「連れて行ってくれ。そこで話そう」

– Merionはうなずいて歩き出しCoralen Larkosはそのあとを着いていく。内門をくぐり外側の中庭に出る。だんだん騒音が大きくなる。Bastionを去る船待ちの大勢の難民の声がする。馬に乗った下士官や伍長が怒鳴り声を上げて指示を出している

– Moneylenders Guildのローブを着たずんぐりとしたDwarfが何かつぶやき兵士に胸ぐらを掴まれ、地面に倒れる。レザーの財布がジャラジャラと音を立てる

– 「他の者たちのところへ戻れ」兵士ががなり立てる。「合図があるまでここを動くな」

– 立ち上がろうとするDwarfにMerionがつまずきDwarfが早口でなにかしゃべるが、Coralen Larkosの怒りと侮蔑のこもった目を見てどもりながら謝る

– Coralen LarkosはDwarfが道を開けるまで待ってからMerionの後を追い西壁へと向かう。その時が来たらDwarfもOgreと同様奴隷になるだろう

– Coralen Larkosは玉石につばを吐く。Koada`Dalの仲間の中には、Ogre、Dwarf、HumanをElfと並ばせるという罪深いことをしたCombineは滅ぶべきだと思っている者がいる。Kingがそのような劣等種族に評議会の席まで与えるとは!Elf文化のガンに嫌気が差すと同時に激しい怒りを覚える。しかしこのことは胸のうちにしまっておくのが賢明だということを知っている。それに今やKoada`Dalは禁断の少数派だ。帝国の崩壊そして立て続けに起きた戦争から生き延びた者はわずかだ。Merionには理解できないだろう。若いElfはOgreやDwarfなどと共に育ち暮らしてきた。Merionはあんな生き物をも尊重し好意を持っている。なので弟子にはこのことは言ったことがない。Merionの失望した目を見たくはない

– 後ろを振り向いたMerionの表情がまるで逃亡者のようでCoralen Larkosが笑う

– 「何がそんなにおかしいのですか?」弟子が口を尖らす

– 「もし今のお前の顔を誰かが見たら1マイル先からでも何か悪巧みをしているのがすぐに分かってしまうぞ」Coralen Larkosが言う

– つぶされた花、踏み荒らされた土を見てCoralen Larkosはため息をつく。ここでキャンプをしていた難民が他の難民と合流し、急いで船に向かったようだがそこらじゅう破片などが散らばっている。庭園を流れる小川が泥と混ざり合っている

– 「この庭園はBastionでも最も気に入っている場所だ。妻と一緒にここによく来たものだ。何もかも変わってしまう前にな」Coralen Larkosがつぶやく。それから周囲の鮮やかな紅葉の木々のなかに1本だけ生えた、くねくね曲がってくすんだ緑の葉をつけた木を指さす。「あの木に初めてGrowth魔法をかけたんだ。妻を驚かせてやろうと思ってな。高くて真っ直ぐ伸びる木になるかと思ったが結果は見ての通りだ。Kallisaはそれを面白がってここに来るたびにあの木の話をしていた」

– 急に突風が吹き泥だらけの小川の水が跳ねる。Coralen Larkosはクロークをきつく体に巻きつけて寒さをしのぐ。振り向くと思いやりにあふれた目でMerionが見ている

– 「さあ、こちらへ」Merionは誰にも見られていないことを確認してから木の後ろにしゃがみこむ。その瞬間に錆びた金属と金属がぶつかり合いギーギーと音を立て、Coralen Larkosはひやりとする。しかし風がその音をかき消し遠くの群衆には聞こえていないことにホッと息をつく。Merionに続いてそのトンネルの出入口に立ち、中を見る

– 「こんなものがここにあるなんて」Merionが言う。「あなたに聞かなかったら一生気づかなかったでしょう」

– Coralen Larkosがクスクスと笑う。「あの小川がどこに流れて行くと思っていたんだ?それに要塞というものには裏口が付き物だ。一番奥まで行ってみたか?」

– Merionがうなずく。「途中で根っこや蜘蛛の巣で進めなかったので掃除しておきました。私たちの船は奥で待機しています」それから表情が暗くなる。「本当に船員を信用できるのですか?最後の望みは他の者達と一緒に早めに出発することだと分かっているはずです」

– 「船員の最後の望みは私についてくることだ」Coralen Larkosが言う。「絶対に服従するようにしてある。私を見捨てたくても見捨てられないようにな」

– Merionの口が嫌悪に歪む

– 「どうしたMerion。船員が私に忠誠を尽くすためにほんのちょっとCompulsion魔法を使っただけだ。そんなに嫌わなくてもいいではないか。とても便利な魔法だしお前には使いこなす素質がある」

– Merionがしかめっ面をする。「だからといって好きになる必要はありません。Compulsion魔法は、なんというか、汚い魔法です」

– Coralen Larkosは笑う。「ライトニングボルトを敵の心臓に貫くことが綺麗なのか?ファイヤーで包まれた相手が炎の中で叫びながらパチパチと音を立てることはどうだ?Affliction魔法で骨になるまで肉を腐敗させるのはどうなんだ?Merion、戦争は汚いものだ。生きるということは汚いものだ。我々はやらねばならぬことをやるしかない」若い弟子の肩をギュッと抱き寄せる

– 「さあ壁に戻ろう。日暮れには魔法をかけなければならない。準備ができていないからといってドラゴンは待っていてはくれないぞ」後ろでトンネルの門を閉める

– 門をくぐり内側の中庭に入る。混乱の空気が重い。Coralen Larkosはせわしない群衆の上の城壁を見やりその堅牢性に感心する。太陽の光が壁を淡い赤で染めている

– 顔を戻すとずっと昔から知っている目と目が合う。Coralen Larkosはまばたきをして向きを変え砦に急ごうとする

– 「父上」なつかしい声がする

– Merionが立ち止まりポカンと口を開けている

– 舌打ちをもみ消し振り向いてCoralen Larkosは笑顔を作る。そして「Kallor」と呼んで一歩前に出る。「気付かなかったぞ」嘘をつく

– 息子は何もこたえない。Coralen Larkosは短く息をつく。Kallorの青い瞳を忘れていた。死んだ母親に生き写しの青い瞳。生まれた時からこの少年はKallisaから何もかも受け継いでいた。魔法には興味を持たず父と同じ道を進む気はこれっぽっちもない。帝国一のトルバドールだったKallisaにならって気まぐれに音楽に興味を持っていた。まだ人々が音楽というものに関心を持っていた頃だ。最後に聞いたのはKallorが評判の高い音楽家になったということだがもう何ヶ月も話をしていない。いやもう何年も

– 空色の瞳にはもはや非難の色はない。まったく感情のない目をしている。Kallorは他人を見る目でCoralen Larkosを見ている

– Coralen Larkosの心のなかの声が、この息子は落伍者で自分には価値のない人間なので行かせてやれと言う

– 「あなたはここに残って戦う」質問ではなくただそうKallorが言う

– 「ああ」Coralen Larkosがこたえる。「お前は船で出て行く」

– 「はい」

– お互い黙って数秒間見つめ合う。それが何時間にも感じられる

– 「Kunarkで会うかもしれませんね」Kallorが言う

– 「あちらでは音楽家を必要としているかもしれないな」そう応じるも、息子はすでに振り返って大量の難民と荷物の奥へと消えてゆく。Coralen LarkosはKallorが完全に見えなくなるまで見送る

– MerionがCoralen Larkosの腕に手を置く。「あの人は息子さんですか?」

– 「その話はしたくない」早口でCoralen Larkosが言う

– 「でももうすぐ戦闘が始まるというのにあなたの息子さんは – 」

– Merionの手を振りほどく。「そのとおりだ、Merion。戦闘が始まろうとしている。お前に関係のないことに気を取られていないで戦闘に集中するんだ!」

– 「分かりました、my Lord」一礼してMerionが言う

– Coralen Larkosは深い息をつく。ここ砦の影からは太陽の最後の光がもう消えかけている。Merionの細い腕を両手でつかむ。「いいか、私の息子はお前だけだ。お前が私の息子だ」

– 「でも本当の息子さんはあの人でしょう」Merionが言う。「あなたの子、そしてKallisaの子。Kallisaの魂がSeraphsの光に照らされますように」

– Coralen Larkosがたじろぐ。「Merion、Kallorが私に対して抱いていた愛情といったものは母親と一緒に死んだのだ。あのワイバーンが母親ではなく私の命を奪えばよかったと願ってきたのだ。あいつがどう思っているかは知っている」一瞬目の前で亡き妻の顔が浮かぶが瞬きをしてそのイメージを拭い去る。「だがKallorは私にとって他人だ。Kallorにとっても私は他人なのだ。あいつは船で出て行き生き延びる。私とお前は・・・」言葉を飲み込む

– 外の光は消え太陽は遠くの丘に沈んでいる。恐怖の震えが群衆のなかから伝わってくる

– Coralen Larkosは微笑む。「息子よ、私とお前には戦いが待っている。そして共に築く伝説も」

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