EQNext 【Bastion陥落 第二章 – 地下堂 –】

登場人物

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第一章 – Compulsion魔法 –

【第二章 – 地下堂 –】

 

 

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– Ring of Scaleがすぐそこまで迫っていると言ったところで誰も耳を貸さないことが分かっていたため、Coralen LarkosはBastionのRoyal Cryptに引き篭もっているKeramore Thexを訪ねることにする

– かつては若い貴族や将校が買い物やアーチェリーを楽しみ評議会のメンバーが集う美しい庭園には、難民が押し寄せ所狭しとテントや毛布を並べている。座れずに立っている者もいる。東壁側から突然聞こえてくる赤ん坊の弱々しい泣き声が惨めな空気にますます追い打ちをかける

– 内門で2人の守衛の敬礼を無視し、借り物の馬が止まった場所に馬を乗り捨て、何度も駆け出しそうになるのを抑えながらCoralen Larkosはゆっくりと砦に向かう。あとで嫌というほど走れるだろう

– 正門をくぐると夜明けの薄明かりがぼんやり石壁に照らされている。以前ならこの分厚い石の砦に感心していたところだが、これから待ち受けるものを思うとその壁が紙のように頼りない

– Coralen Larkosは後ろで聞こえるもたついた足音に振り返り、急いで追い付こうとするMantaesを睨みつける。「西棟に行け。Merionを探せ。誰かは知っているだろうな?」

– 怯えた様子でうなずくMantaesに「まず私の書斎を探してくれ。いなかったら食堂だ。とにかく探せ。見つけたら急いで評議会に会いに来るように伝えてくれ」と付け加える

– 鮮やかな色合いが目に飛び込んでくる。Thex家のお仕着せを着た召使の腕をつかみ、「Keremoreはどこだ?」と尋ねる。不快な表情でその手をほどき、馬鹿にした様子で「Prince Keremore」と訂正する。「Royal Cryptにいるはずですが邪魔をしてはなりません」

– 邪魔するなだと?思わず激しく笑うと召使は驚いている。ニヤニヤしているMantaesに「何をしている?早く行け」と命じる。最後まで聞く前にもう走りだしている

– Bastionの北はRing of Scaleに焼きつくされているため、人々は行き場を失っている。船の準備ができるまでのあいだここで待機することをKingが許可したのも分かるが、それでKingを好きになる理由にはならない。砦とは宿ではなく戦争の場所なのだ。少なくともKingはBastionをElfだけに制限し、劣等種族を右壁から左壁へとびっしり足の踏み場なくテントに留まらせておくだけの作法は持ち合わせているようだ

– 長い廊下を抜けRoyal Cryptへと続く階段にたどり着く

– エクソダスのための船の準備ができるまで、か。もう2年ものあいだ、すぐにでも船の準備をすべきだと進言してきた。それなのにいまだにまだ半分も船の準備ができていない。もはや残り半分の船を用意する時間はない

– 螺旋階段を下りCryptへと向かいながら、評議会メンバーがどんな顔をするか想像する。恐らく私の話を笑い飛ばすだろう。Arch Mage Coralen Larkosの妄想がまた始まった、と。ようやくKingが危険を理解し海の向こうへエクソダスを命じたのがたった4週間前の話だ

– Coralen Larkosは石畳につばを吐く。たとえ評議会のテーブルの上にIthiosarを召喚したとしても奴らは面と向かって私を笑い飛ばすだろう。誰か味方がほしい。友人がほしい

– 狭い通路が広くなり、天井の高い飾り立てた部屋に入る。部屋の奥にいる、見慣れた背の高い人物の影が壁に長く映し出されている。Coralen Larkosには友人があまりいない。これまで必要だと感じたこともなかったが今回は別だ。王家の義務と戦争の圧迫感を前に若い頃にはKeramore Thexのために命を失いそうなことが何度もあった。Neriaが死ぬ前に、Neriaと一緒のKeremoreに加わったあの時も

– Keramore ThexはNeriaの石棺の前に立って頭を垂れている。そして冷たい石の上に頭を押しつける

– Coralen Larkosは溜息をつく。昔Neriaが自分ではなくKeramore Thexを選んだ時、自分はNeriaを愛していたと思ったこともあった。しかしそんなことは死によって何もかも終わった。妻が死んだ時には、妻を殺したワイバーンを埋めた穴と一緒に遺体を埋葬し、後ろを向かずに前に進んだ。多くの涙はあった。しかし涙は死んだ者を取り戻してはくれない。死んだ者は生き返りはしない。Keramore Thexがそれを理解するのが早ければ早いほど生きている者を守ることができる。まだ遅くなければだが

– 悪態をつきたいのを抑え、Keramore Thexが冷たい石につぶやくのを聞く。今はこんなことをしている場合じゃない。Coralen Larkosは友人の近くに歩み寄る。Keramore Thexが振り返らない事実が敵の大群に近づくくらいに恐ろしい。昔のKeramore Thexならこんな風に背後からこっそり近づかせることはなかった

– 頭のなかで何かがパチンと音を立てる。「死人と過ごすのがそんなに楽しいなら」声が天井に響く。「思った以上に早くその機会が訪れるだろう」

– ぱっと振り向いたPrinceの頬には涙が伝っている

– 「我々は友人かもしれないが、Coralen」怒りを込めた声で言う。「一線を越えている。Royal Cryptまで来て私の邪魔をするとは」

– 怒りに怒りで返そうかと一瞬思う。Combineが崖っぷちに立ち、何千人もの人々が空から恐ろしい死が降ってくるのを待つばかりの今この時に、身勝手で個人的な喪の儀式を邪魔されたと怒りをあらわすとは。いや、怒りでは解決しない。彼にはこのElfが必要だ

– Coralen Larkosは一礼して「無礼をお許しください、Prince。邪魔をするつもりはありませんでした」と言いKeramore Thexと目を合わせる。「しかしながら、理由を聞けばお分かりいただけるはずです」

– 何も言わずにKeramore Thexは棺桶に向き直り何かつぶやく

– ここまでやってきてこれ以上貴重な時間を無駄にしないといいんだが。評議会の夜明けの会合はもう始まっているはずだ。偉大なメンバー2人を欠いた評議会を想像して吹き出しそうになる。背を向け自己憐憫にふける恐れを知らない戦士の指揮官。そして評議会が聞きたくない真実を語ったばかりに無き者とされた無敵のArch Mage

– Keramore Thexが振り返り、Coralen Larkosが口を切ろうとするもここでは駄目だと制し、螺旋階段に向かう。背中全体が押し殺した怒りで揺れているのが分かる。後ろをちらりとも振り返らずに先を進むPrinceについていきながら唇を噛む

– 階段の頂上にたどり着き、難民の群れを分け進む。目が覚めた難民は食べ物を探し歩いている

– Keramore Thexの名を2度呼ぶが返事がない。砦の騒音で聞こえなかったのかもしれない。それとも自分の世界に入り込んで声を聞こうとしないのか。前者だといいのだが

– 前触れなくいきなり中庭の真ん中でKeramore Thexが立ち止まり、ぶつかりそうになる

– 「父と兄は正しかったのかもしれない」Princeがつぶやく。「もうこの土地を離れる時が来たのかもしれない」

– Coralen LarkosはKeramore Thexに同意後、「全Ring of Scaleがここからたった1日の距離にいます」とドレイクから得た情報を伝える。ショック、怒り、決意の反応を期待していたが、まったく予想に反しKeramore Thexはくすくす笑い出す

– 「ドレイクがそう言ったのか?捕まえたドレイクが?」Keramore ThexはCoralen Larkosの肩に両手を置く。「友よ、嘘だと言っているわけではない。だがドレイクは殺されたくなかったばかりにそう言ったのではないか?どうせ殺したんだろう?」

– 「安らかに死にました」Coralen Larkosは飛び出した肺、心臓、肉を思い出す。「疑うのも分かります。しかしCompulsion魔法を使いました。Painと混ぜてあの生き物の意識に集中しました。嘘を言ってはいないはずです」

– なるほど、とばかりにKeramore Thexの目が見開く。過去5世紀に渡ってCoralen LarkosほどのCompulsion魔法の使い手はいない

– Coralen Larkosは友の目をじっと見つめ、ドラゴン軍がすぐそこまで迫っていること、日が暮れたら襲撃にやって来ることを伝える

– 時間がないこと、どうやったら誰にも気付かれずにそんなに近くまで来ることができたのか、とKeramore ThexはCoralen Larkosをがっしりつかんで問う。周囲の目が気になり声を抑える

– Keramore Thexの手を払いのけるため、そして二度と自分に手を触れぬよう思い知らせるために思わずCoralen Larkosの唇から魔法が紡ぎだされようとする。唇を噛んで呪文を飲み込むと喉が焼けるように熱い

– 「分かりません」Coralen Larkosがあしらう。「Teir`Dalの指揮官のあなたなら知っているべきではありませんか?どうやって何千というコボルド、Phyxian、ワイバーン、ドレイク、ドラゴンの大群がこの距離をこのスピードでたどり着けたのか、しかも誰にも見つからずに。その理由を偵察に聞いたらいかがですか?」

– 一撃を食らったかのようにKeramore Thexはつかんだ手を放し後ろに下がる。太陽の下で雲ひとつない青空を仰ぎ見てからCoralen Larkosに指をさす。「評議会を招集しろ。このことを報告するんだ」

– Coralen Larkosはうなずき、すでに評議会は招集済みで会合が始まっていること伝える。死んだ妻に心を奪われていないで本来ならお前がやるべきことだろう、と心の中で思う

– Coralen Larkosは「私も向かうところです」と言い、自分がこの話をしたところで聞いてもらえないから評議会で口添えしてほしいと頼む

– 承知したKeramore Thexはその前に立ち寄るところがあるから30分後に評議会で会おう言い、あっという間に高く昇った太陽のいまいましい光を手で遮りながら罵るCoralen Larkosをあとに、群衆のなかに消える

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